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2013年11月20日(水)

産業競争力強化法案に対する

塩川議員の反対討論

衆院本会議

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 日本共産党の塩川鉄也議員が19日、衆院本会議で行った産業競争力強化法案の反対討論(要旨)は以下の通り。


 安倍総理はこの臨時国会を「成長戦略実行国会」にすると述べ、「日本再興戦略」を具体的に実行するために本法案を国会に提出しました。

 ところが、法案が審議入りした10月29日、総理の姿は議場にありませんでした。原発売り込みのトップセールスのためトルコを訪問していたのです。半年足らずで2度の訪問という熱のこもったセールスのおかげか、三菱重工業や伊藤忠商事が加わった日仏企業連合が原発建設を受注することが実質的に合意されました。

福島に背向ける

 福島原発事故は依然として事故原因の究明にすら至らず、増え続ける汚染水の処理すらままならない中、わが国同様、世界有数の地震国であるトルコへの原発輸出など無責任極まりありません。福島では未だ14万人以上の方が厳しい避難生活を強いられています。福島県民の苦しみに背を向けるものであり、厳しく抗議いたします。

 同法案の根本的な問題点は、「世界で一番企業が活動しやすい国」に日本をつくり変えると称し、産業再編の促進策や企業単位の規制緩和の仕組みをもり込んでいることです。

 この20年間におよぶ構造改革と規制緩和の結果はどうだったでしょうか。自動車・電機などの大企業が世界に名だたる多国籍企業に成長しただけで、国民には「貧困と格差」しかもたらさなかったのであります。

 多国籍企業の競争力を強化することが国民の利益と一致しないばかりか、対立することは明白であり本法案はこの矛盾をいっそう深めるものです。

 反対理由の第一は、本法案が、株主資本利益率(ROE)の向上を最優先とした大企業のリストラ支援法である産活法を継承するものだからです。同法の経産省認定企業の約半分は多国籍企業です。

 政府は、産活法によるリストラ支援に加え、持ち株会社の解禁や会社分割など大企業の組織再編は熱心に整備する一方、労働者保護に係る制度の整備は放置したまま。結果、持ち株会社や企業を実質支配するファンドらによる不当労働行為を招き、労働者の地位は不当に害されています。それなのに産業競争力会議では、雇用分野を「岩盤規制」だと敵視しさらなる労働法制改悪をたくらむなど絶対に許されません。

 第二は、企業実証特例制度やグレーゾーン解消制度を突破口に、規制緩和を全国展開する仕組みだからです。

 これらの制度で企業が提案できる規制には何ら制約がありません。労働者が人たるに値する生活を営むための最低基準である労働法制を企業単位で緩和するなど断じて認められません。企業ビジネスのため、国民のくらしや安全を損なう規制緩和の仕組みは容認できません。

 第三は、法案と一体に整備される与党税制改正大綱による減税措置を加えても、多国籍企業の国内投資と雇用が増える保証が全くないからです。

政策切りかえよ

 海外法人の資金の国内還流を促進するとして導入され、毎年度4兆円にも及ぶ「海外子会社益金不算入」の実績を見ても、国内での投資も雇用も増えませんでした。結局、多国籍企業の内部留保の積み増しを加速し、国と地方の税収に大穴を開けただけであります。

 多国籍企業、大企業の応援ではなく、国民の所得を増やし、中小企業と地域経済を応援する方向に政策を切りかえてこそ、日本経済全体の発展につながることを最後に指摘し、反対討論といたします。


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