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2013年11月18日(月)

第26回党大会決議案の用語解説〈下〉

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第3章

しゃくし定規な制度のしばり

 被災地の復旧事業の助成対象について「元の場所に、同じものをつくらなければ復旧ではない、支援しない」ことになっているなど、東日本大震災のような壊滅的な被害の実態にあっていないことをいいます。たとえば、津波をかぶった海岸沿いの道路整備は復興交付金の補助対象になりますが、高台移転に必要な道路整備は補助対象として認められないなど、被災地の要望を無視した制度になっており、こうしたしばりが復興を妨げています。すべてのことを一つの標準や規則に当てはめて処置しようとする、融通のきかないやり方ではなく、実態にあわせた「ルール」と支援が求められています。

公契約法・条例

 公共工事や公共サービスを受注した企業で働く労働者が低賃金に苦しみ、住民の税金を使った事業が「働く貧困層(ワーキングプア)」を大量に生み出しています。こうした労働者は、1000万人にも達するといわれます。この劣悪な労働条件を改善するために、公共工事や公共サービスを発注する公的機関(国・自治体など)と受注した事業者とのあいだで結ばれる契約(公契約)に、生活できる賃金など人間らしく働くことのできる労働条件を確保するのが公契約法と公契約条例です。条例は、千葉県野田市などいくつかの自治体ですでに制定されています。

「応能負担」の原則にたった税制改革

税はそれぞれの負担できる能力に応じて平等に負担すべきというのが、近代社会が確立してきた税制上の原則です。しかし、日本では、所得が1億円を超える大金持ちほど税の負担率が減少するという不公平税制になっています。また、大企業にも法人税の減税や研究開発促進税をはじめ優遇税制が繰り返されてきました。その一方で、低所得者に過酷な消費税の導入・税率引き上げが行われています。ここを切りかえ、富裕層・大企業への優遇と不公平をただす税制改革を行えば、社会保障や財政危機打開の財源が確保でき、消費税増税中止と廃止への展望が出てきます。

「生活保護バッシング」

 生活保護制度の権利性を否定し、受給者とその家族を「怠け者」「恥を知らない」などとたたきのめすこと。2012年春ごろから、自民党議員をはじめ、一部自治体、マスコミ、ネットなどで強まりました。バッシングは、受給者の日常生活を市民が監視することを促すなど、国民のなかに対立と分断を持ち込んでいます。このもとで、生活保護制度の改悪がすすめられ、受給者の精神的な萎縮、保護が必要な人も受給をためらうようになっています。最低生活の基準を定めた生活保護の改悪は、最低賃金、就学援助制度、地方税の非課税など、各種基準の引き下げに連動しています。

多数の中小企業を排除する「選択と集中」路線

 自民党政治は、中小企業分野から成長企業を選んで、そこに政府の支援を集中する「構造改革」の経済政策を推進してきました。1999年の中小企業基本法の改定の際も、当時の経企庁長官が「中小企業対策も、弱者として保護する政策をとらず、中小のなかから強者を育てていく」と述べました。このもとで、中小企業全体を視野に入れた金融、税制、直接支援の政策が取られず、大企業による中小企業への不公正な取引が放置され、予算に占める中小企業対策の比率は下がる一方、中小業者イジメの消費税の導入・増税策が強行され、中小企業の廃業が開業を上回る事態がすすんできました。

当事者能力をもたない東電は破たん処理

 汚染水の事態を深刻化させた大もとには、「コスト優先・安全なおざり」の東電まかせがあります。東電は、その場しのぎの事故対策や工事・点検の手抜きを繰り返してきただけでなく、経営上の都合を優先させ、地下水の遮水壁建設を先送りにし、安易な仮設タンクに頼って汚染水を漏らしています。東電に当事者能力がないことは明らかです。東電を破たん処理し、国が直接に事故収束と被害への賠償、除染に全責任を負う体制を構築すべきです。事故収束・賠償・除染の費用は、東電と株主、銀行に負担させ、さらに電力業界、「原発利益共同体」に応分の負担を求めます。

「新規制基準」

 安倍政権は、「世界最高水準」の基準で安全を確認して原発を再稼働させるとしています。そのために原子力規制委員会が定めたのが「新規制基準」で、7月から審査が始まっています。しかし「新規制基準」は、再稼働を急ぐためのスケジュールにあわせてつくられ、福島原発事故の究明もなく、事故を踏まえた地震・津波想定の検証もなく、わずかな追加対策でよしとする極めてずさんなものです。しかも、アメリカでさえ稼働の前提とされている避難計画は、「新規制基準」の対象にすらなっていません。こんなものをテコに再稼働を進めるなど許されません。

「原発利益共同体」

 原発利権に群がる財界・政界・官僚・一部メディアに一部の学者も加わった癒着構造が「原発利益共同体」です。その中心は、1機つくるのに数千億円という原発でもうけている、電力会社、原発メーカー、大手ゼネコン、鉄鋼業界、セメント業界、大銀行など財界の中枢を構成する大企業です。この勢力が、原発推進の政党・政治家に政治献金を配り、特権官僚とも癒着し政治・行政をゆがめてきました。「原発ゼロの日本」をめざすたたかいは、このゆがみをただし、「原発利益共同体」を解体し、国民の命と暮らしを守る「ルールある経済社会」をつくるたたかいの重要な一部です。

歴代米国防長官とともに、日本の元防衛大臣も認めている

 日本に駐留する海兵遠征軍、空母打撃群、遠征打撃群などの米軍は、「日本を守る」ための軍隊ではなく、世界の紛争に真っ先に殴り込むことを任務とした部隊です。ワインバーガー国防長官やチェイニー国防長官(いずれも当時)らは、これらの部隊が、「日本防衛」のためではなく、米国の国益のために、米世界戦略にもとづいて展開していることを明言していましたが、久間章生元防衛大臣は、近著『安保戦略改造論』で、「在日米軍基地は日本の防衛のためというより、『不安定の弧』といわれる中東から中国を含む東アジアにかけて展開する米軍のための最大拠点と見た方が正しい」「米国の世界戦略の拠点になっているのが在日米軍基地なのだ」とのべています。

「6カ国協議」の2005年9月の「共同声明」

 2002年10月の北朝鮮の核開発を契機に、問題を平和的に解決するための6カ国の協議が始まりました。参加国は、北朝鮮、韓国、中国、ロシア、日本、米国の6カ国です。05年9月の6カ国協議の会合で、朝鮮半島非核化を明記した共同声明で合意しました。北朝鮮が核兵器開発計画を放棄し、米国も朝鮮半島に核兵器をおかず、北朝鮮への攻撃・侵略の意思をもたないと確認。また、日朝関係では、諸懸案を包括的に解決して国交正常化にすすむという日本と北朝鮮の合意(「日朝平壌宣言」)にもとづく解決方向を記すなど、朝鮮半島にとどまらず、北東アジア全体の平和の枠組みを築くうえでも重要な合意となりました。

ASEAN+3首脳会議

 ASEAN+3首脳会議は、ASEANを構成する10カ国(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)と日本、中国、韓国の首脳によって行われている会議。1997年夏に始まったアジア通貨・経済危機を契機に、マレーシアでおこなわれたASEAN創立30周年記念の首脳会議に3カ国の首脳が招待された形で始まり、その後、毎年開催されています。金融・経済から紛争にかかわる平和・安全保障、食料・エネルギーの問題まで、さまざまな問題で協議がおこなわれます。この間、日中、日韓の首脳会談は開催できない状況ですが、今年10月に開かれたブルネイでのこの首脳会議には、日本の安倍晋三首相や韓国の朴槿恵大統領、中国の李克強首相が出席しました。

子どもの権利条約

 子どもの権利条約は、国際人権規約などの世界の人権保障の理念の発展のなかで、1989年に国連で採択されました。条約は、子どもを権利行使の主体ととらえ、子どもの生存権、意見表明権、成長・発達権、保護される権利、市民的自由などを保障し、「子どもの最善の利益」を第一義的に考慮されなければならないと定めています。また、国に、条約にもとづく立法行政措置を講ずることなどを義務づけています。日本は、94年に批准していますが、条約にもとづく実行の責任を果たしておらず、子どもの権利委員会から厳しい批判と勧告をうけています。

日韓請求権協定

 1965年に結ばれた日韓基本条約とともに締結された協定。日本が5億ドルの経済支援をすること(第1条)によって、両国間の政府・国民にかかわる「請求権に関する問題」が「完全かつ最終的に確認されたことを確認」(第2条)しました。日本政府はこれを根拠に、日本軍「慰安婦」問題を「解決ずみ」としています。一方、韓国政府は、被害者への賠償にかかわる政府間協議を日本に求めています。同協定第3条は“協定の解釈や実施にかかわる紛争は外交的に解決する”としています。協定締結当時に日本軍「慰安婦」問題はいっさい明らかになっておらず、議論の対象にもなっていなかったのですから、日本政府には韓国との協議に早急かつ誠実に応じる責任があります。

連合指導部の特定政党支持路線と労資協調主義路線

 日本共産党排除を口実にした労働者への特定政党支持の押しつけと「企業の業績を増やさなければ労働者の生活もよくならない」と破たんした「パイの理論」に固執し、労働者を企業の利潤追求と生産向上にかりたてる企業主義路線です。労働組合の原点は、資本や政党からの独立です。組合員の思想・信条、政党支持の自由を保障し、この原則で団結してこそ、賃上げや労働条件の改善要求などのくらしを守るたたかいを前進させることができます。いま連合職場で、悪政をすすめる民主党への失望、特定政党支持押しつけと企業いいなりの労資協調路線への矛盾と怒りが広がっています。

第4章

社会保障などの最低基準を定めた「義務づけ・枠づけ」の見直し

 これまで国は地方自治体の仕事に対して、国民がどこに住んでいても標準的な、あるいは最低限の行政サービス(=ナショナルミニマム)を保障するとしてさまざまな基準を設けてきました。「義務づけ・枠づけ」の見直しとは、福祉や教育を含めこれを廃止・縮小し、各自治体が条例で定めるものとするもので、ねらいは社会保障への国の責任放棄です。例えば保育では保育所居室面積基準を条例で定めるとし、国は標準を定めるにとどめました。自治体には「従うべき」としつつ、東京都や大阪市などいくつかの大都市には待機児解消を口実に基準の引き下げを認めたため、子どもの詰め込みが可能となり、子どもの安全、保育の質の低下が心配されています。

第6章

人権と自由の拡大にむけて、自身が認めた国際規範

 人権と自由の拡大をめざす国際条約に「国際人権規約」があります。同規約は2部構成で、中国の場合、経済的、社会的権利を定めた「社会権規約」(A規約)を署名・批准。すべての個人にたいして、政治的意見などいかなる差別もなしに、思想・宗教・表現・集会・結社の権利を確保することを締約国に義務付けた「自由権規約」(B規約)も1998年に署名し、「批准のために積極的に条件をこしらえている」(政府白書)と表明しています。中国、ベトナム、キューバは同規約の実施を促進する国連人権理事会の理事国です。

レーニンが、勝利したソビエト・ロシアが周辺諸国との関係で大国主義的な態度に陥ることを、どんなに厳しく戒めたか

 ソビエト・ロシアは外国干渉軍を退けて内戦に勝利した後、1922年に、周辺5カ国との連邦形成に進みました。その際、周辺国をロシアに吸収するスターリン案に接したレーニンは、その大国主義的な態度を「大ロシア人的排外主義」と厳しく戒め、各国が平等な権利と自由な脱退権をもつ連邦案を対置して実現しました。その後、加入方式をめぐって意見が対立していたグルジアの党幹部をスターリンらが乱暴に弾圧していたことを、レーニンは死の病床で知り、「粗暴な大ロシア人的警察支配」と非難して、スターリンの書記長解任を提案する「大会への手紙」を残しました。

中国、ベトナム、キューバでは、政治体制の面で、事実上の一党制

 中国憲法は、「中国各民族人民はひきつづき中国共産党の指導のもとにあって」としたうえで、他の政党との関係においても「中国共産党が指導する多党協力と政治協商制度は長期にわたり存在し、発展していく」(前文)と、中国共産党の指導性を規定しています。また、ベトナム憲法は「ベトナム共産党は国家と社会の指導勢力である」(第4条)、キューバ憲法は「キューバ共産党は社会と国家の優れた指導力である」(第5条)と規定し、いずれも唯一存在する政党である共産党に特別の指導的地位を与えるものになっています。

レーニンがロシア革命の初期に実践したように、反対政党の禁止は一般的な革命の原則とはいえない

 10月革命で成立した革命政権は連立政府として出発し、政府を選んだソビエト大会には当然のこととして反対政党も参加しました。反対政党が禁止されるにいたったのは、これらの政党が外国の軍事干渉と結んでソビエト政権の暴力的な転覆をはかったからです。その場合もレーニンは、禁止を一時的な措置と考えており、実際、1年に満たないうちに合法性が回復されました。このように反対政党の禁止は一般的な革命の原則ではありません。しかし反対政党は、その後もテロや暴動に走ったため、その活動を禁止され、政府党(ボリシェビキ党)だけが存在することになりました。


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