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2013年11月17日(日)

第26回党大会決議案の用語解説〈上〉

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第1章

自民批判票の「受け皿政党」

 今回の参院選の結果、自民党と共産党との間の自民批判票の「受け皿政党」が消滅してしまいました。民主党は国民の期待を裏切って得票を大きく後退させ、「第三極」といわれた勢力も、その地位を失いました。このような政党地図は、戦後日本の政治史をみても、かつてなかったことです。1960年代の終わりから70年代に日本共産党が躍進した時代には、社会党、公明党、民社党などが「受け皿政党」として存在していました。1990年代後半の時にも、民主党や自由党がその役割を担っていました。今回のように、自民党政治への対決者が日本共産党だけになったというのは、かつてないことです。

国内総生産比での長期債務残高が「先進国」で最も高い水準の国に

 日本では、「異常な財界中心」の政治の結果、国内総生産(GDP)が伸び悩む一方で、景気悪化と大企業・金持ち減税による税収の落ち込み、大型公共事業などの浪費によって、財政赤字が増加し、国・地方あわせた長期債務残高は、2013年度末で957兆円、GDP比で196%にも達する見込みです。OECD(経済協力開発機構)が国際比較に使う「債務残高」(長期債務残高より範囲が若干広い)の対GDP比では、2013年末に日本228%、アメリカ109%、イギリス109%、ドイツ88%、フランス113%、イタリア144%、カナダ85%となる見込みです(財務省「日本の財政関係資料 2013年10月版」から)。

弱肉強食の「構造改革」路線

 国民のくらしや労働者の権利を支える制度は切り捨てる一方で、大企業や財界に都合のいい制度を拡充する路線のこと。自民党と民主党がこの路線の推進で競い合う中、日本中に格差と貧困が広がりました。民主党は、政権をとっていた時期、国民の期待を裏切って、消費税増税、法人税の減税、TPP(環太平洋連携協定)の推進などを打ち出しました。安倍政権は、消費税の大増税、解雇規制の緩和、生活保護の切り捨て、法人実効税率の引き下げ、原発の再稼働などいっそうのくらし切り捨て、大企業応援の路線を強行しようとしています。

第2章

NPT(核不拡散条約)再検討会議

 核不拡散条約(略称NPT、1968年署名)の履行を点検するために5年ごとに開かれています。NPTは米英仏ロ中だけに核兵器の保有を認め、他国への「拡散」を禁止することで、五大国の核独占をめざしたものでした。しかし、核軍縮を義務付けた第6条の履行を求める声が非同盟諸国を中心に広がり、今日では核兵器廃絶をめぐる国際政治の重要な舞台となっています。2010年の再検討会議は、「核兵器のない世界の平和と安全」をめざすこと、そのための「枠組み」をつくることを、核保有国を含む全会一致で決定しました。2015年に向けてその実践が求められています。

「国連憲章にもとづく平和の国際秩序」

 二つの世界大戦の悲惨な体験から1945年に国際連合が創設され、平和な国際秩序の建設が世界的な目標として提起されました。国連憲章は、武力の行使や威嚇(いかく)の原則禁止、紛争の平和解決をはじめ世界の平和秩序のルールを定めています。その後も侵略戦争が繰り返されましたが、それとのたたかいを通じて、平和の国際秩序を現実に確立することが、世界諸国民の切実な課題となっています。

 いま、軍事同盟に代わって、東南アジア諸国連合(ASEAN)をはじめ、外部に敵を求めない平和の地域共同体が豊かな広がりをみせており、国連憲章にもとづく平和の国際秩序をめざす動きが大きく発展しつつあります。

経済協力開発機構(OECD)

 第2次世界大戦後の欧州復興を目的につくられた欧州経済協力機構を前身に、欧州・北米の先進国によって1961年に創設された国際機構。1964年に地理的制限をとりはらい日本が加盟。「先進国クラブ」ともいわれ、国際経済全般にわたる政策協議を目的に、現在、欧米を中心に34カ国が加盟しています。2010年に出した報告書『世界開発の展望2010年版――富の移動』は、世界経済の重心がOECD諸国から新興国に移動し、過去20年間に世界経済の「構造転換」がすすんでいると分析しています。

国連開発計画 (UNDP)

 世界の開発とその援助を目的に、国連総会決議にもとづいて1966年に設立された国連総会の補助機関。経済開発にとどまらない「持続可能な人間開発」を基本理念に掲げ、貧困削減、民主的な統治、エネルギーと環境、危機予防・復興、エイズなどを活動の重点にしています。1990年から『人間開発報告書』を毎年発行。2013年の特集「南の台頭――多様な世界における人間開発」は、発展途上国が世界貿易に占める割合を1980年の25%から2010年の47%へほぼ倍増させるなど、新興国をはじめとする発展途上国の急速な台頭による世界情勢の大きな変化を描き出しています。

旧ソ連に対してのような「封じ込め」

 1947年以降、米国が旧ソ連に対しておこなった戦略。ソ連は膨張欲を持っているが、不断に圧力をかけることで拡張を食い止められるという、米外交官ジョージ・ケナンの議論に由来します。1947年3月、トルーマン大統領が上下両院への特別教書で、「共産主義への封じ込め」をはかると強調。NATO(北大西洋条約機構)の結成など、世界各地に軍事基地・同盟網を展開し、ケナンが提唱した外交的対応にとどまらず、軍事面での封じ込めをはかるとともに、経済交流、人的交流も極度に制限し、同盟国に対ソ政策での同調を迫りました。

重層的な平和と安全保障の枠組み

 ASEAN(東南アジア諸国連合)は、平和と安定、紛争の平和的解決と信頼醸成のために、域内はもとより域外諸国をも取り込んだ多様な対話と協力の枠組みを何重にも張りめぐらせています。決議案ではそのうち、以下の枠組みをあげています。

・東南アジア友好協力条約(TAC)…1976年第1回ASEAN首脳会議(インドネシアのバリ)で採択された基本条約。国連憲章やバンドン会議(1955年)にのっとり、独立、主権、平等、領土保全の尊重、内政不干渉、紛争の平和解決と武力の不行使などを原則とします。1987年にASEAN域外の国々に開放されました。

・ASEAN地域フォーラム(ARF)…ASEANの安全保障を協議する枠組み。1994年開始。信頼醸成、予防外交、紛争解決の3段階による地域の平和と安定を目標とします。参加国はASEAN10カ国、米国、中国、ロシア、インド、日本、韓国、北朝鮮など26カ国と欧州連合(EU)。

・東アジアサミット(EAS)…地域や国際問題を話し合う首脳会議。2005年開始。TAC加入が参加の条件です。2011年から米国とロシアも参加しています。

・東南アジア非核地帯条約…1995年の第5回ASEAN首脳会議(タイのバンコク)で調印。1997年発効。締約国の領域、大陸棚、排他的経済水域での核兵器の開発、製造、保有、管理、配置、運搬、実験、使用などが禁止されています。

・南シナ海行動宣言(DOC)…2002年のASEAN・中国首脳会議で合意。国際法やTACの原則の順守、領域問題の武力の行使や威嚇を伴わない平和的処理と紛争を悪化させる行動の自制、対話や信頼醸成の努力など。現在、より拘束力の強い「行動規範」(COC)への格上げが協議されています。

「アメリカ型のルール」

 各国政府は、国民のくらしや健康を守るために、経済主権にもとづいて関税や規制などさまざまなルールを設けています。とくに、農業、医療、食の安全、教育といった分野は、国民のくらしと健康に密接にかかわるものであり市場原理に任せるべきではありません。しかし、多国籍企業にとっては各国ごとに異なる関税や規制があることは利益をあげるうえでの邪魔になります。そこで、アメリカは、多国籍企業が利益をあげやすくなるように、各国のルールを取り払って、アメリカと同一かそれ以下の基準に引き下げようとしているのです。

投機マネーの横暴

 株や原油・穀物などの先物取引、為替、国債などを通じた短期的な売買益を追求する大規模な資金の動き。機関投資家や富裕層から私的に資金を集めるヘッジファンドなどが国境を越えてそうした投機を行っています。それらの資金の急激な流入、流出が株価や商品価格、金利などを大きく変動させ、国家財政や実体経済に大きく影響します。たとえば、投機マネーが原油の先物市場に流入すると原油価格が高騰し、国民生活を苦しめます。ある国の為替市場に投機マネーが大規模に流入、流出すると、その国は急激な通貨高、通貨安に見舞われ、国内産業や物価などに影響します。

リーマン・ショック

 2008年9月15日にアメリカの巨大投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻し、それが大きな引き金となって世界に広がった経済危機のこと。アメリカでは、通常の審査に通らないような人向けの住宅ローン(サブプライムローン)が出回り、それが証券化されて世界中で販売されていました。しかし、07年ごろから住宅価格が下落し、住宅バブル崩壊に至ったため、価格上昇をあてにしてローンを組んでいた多くの人びとが返済に行き詰まりました。サブプライムローン関連の証券や金融商品も暴落しました。こうした商品に深く関与していたリーマン・ブラザーズの破たんを機に、金融機関が貸し出しを抑制し、金融市場の資金がひっ迫する事態が世界的な規模で起こりました。

EU11カ国が「金融取引税」の導入で合意

 欧州連合11カ国(ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ポルトガル、ベルギー、エストニア、ギリシャ、スロバキア、スロベニア)は2012年10月、金融取引税をEU内で先行導入することで合意しました。欧州委員会の提案によると、株式や債券などの取引に最低0・1%、金融派生商品(デリバティブ)取引に最低0・01%の税率で課税し、14年1月1日から適用することになっています。税収は年間350億ユーロ(約4兆7000億円)と試算されています。金融取引を包括的に課税対象にし、取引される金融商品が11カ国で発行されている場合には金融取引がどこで行われているかにかかわらず、課税します。ヘッジファンドや機関投資家も金融機関の定義に含んでいます。

多国籍企業による「課税逃れ」

 活動拠点を複数の国において世界的に活動している企業が、各国の法人税率や税制の違いを利用して全体として納税額を抑える行為。たとえば米コーヒーチェーン大手スターバックスの英国法人は、1998年に同国に進出して以来、ほとんど法人税を支払っていませんでした。コーヒー豆をスイスの子会社経由で2割増しの価格で仕入れたり、コーヒー製法の知的財産権などの使用料をオランダの欧州本社に支払うことによって、低税率のスイスやオランダに利益を移転していたのです。英領ケイマン諸島など法人税率の低い租税回避地(タックスヘイブン)にペーパーカンパニーを設け、そこに収益をためこむ多国籍企業も少なくありません。

京都議定書

 1992年に採択された気候変動枠組み条約にもとづいて、先進国の温暖化ガス削減目標を定めた議定書。1997年京都での国際会議で採択されました。2008年から2012年までを第1約束期間として先進国全体の排出量を90年比で少なくとも5・2%削減することを義務づけています。温暖化対策の第一歩として世界共通のルールと具体的目標を決めた国際協定となりました。しかし、米国などが加わらず、発展途上国は削減義務を負っていません。2013〜20年を第2約束期間とすることで合意しましたが、自主目標を積み上げる形になっており、温暖化を抑えるのに必要な目標との間にはまだ大きな開きがあります。

「共通だが差異ある責任」

 地球環境問題を解決するうえで、先進国と発展途上国の責任のありかたについて、国際的に合意されている考え方。地球環境問題は全人類の抱える問題であり、先進国はもちろん発展途上国にも共通の責任があります。しかし、先進国には、産業革命以来、温室効果ガスを大量に排出してきた歴史的責任があり、能力の点でも率先して責任をはたすことが特別に求められます。「共通だが差異ある責任」とされる理由です。もちろん、1人あたりの量にすればまだ先進国には及んでいないとはいえ、中国などのように大量に温室効果ガスを発生させている新興国もそれにふさわしい責任があります。この原則にたって、各国が狭い利害を超え排出削減に取り組むことが求められます。

非同盟運動

 非同盟運動は国連憲章の尊重や軍事ブロック反対、民族自決権の擁護、核兵器廃絶などの実現を掲げ、1961年にベオグラード(旧ユーゴスラビアの首都)で第1回首脳会議が開かれて発足しました。設立時は25カ国だった加盟国は現在120カ国。オブザーバーを含めると137カ国となり、国連加盟国の3分の2以上になります。東アジアで加わっていないのは、米国と軍事同盟を結ぶ日本と韓国だけです(中国はオブザーバー)。非同盟首脳会議は設立以来、ほぼ3年ごとに開催されています。毎年の国連総会では核兵器廃絶を求める決議も提案しています。

第3章

集団的自衛権行使容認

 「集団的自衛権」とは、“自分の国が攻撃されていない場合でも、密接な関係のある外国が攻撃を受けた場合、いっしょに武力で攻撃できる権利”とされています。日本はこの権利は保有するが、行使はできないというのが、歴代政府の憲法解釈でした。しかし、安倍政権は、憲法解釈を変えて行使できるようにしようとしています。米軍がおこなう戦争に、自衛隊が何の歯止めもなく参加できるようにするためです。しかし、安倍政権の軍事一辺倒の姿勢は、中国や韓国などから警戒されているだけでなく、米国からも、「周辺国とトラブルにならないでほしい」と懸念の声を呼び起こしています。

大企業へのバラマキ政治

 2012年秋に自公民3党の談合で消費税増税法が成立したとき、その付則に、「成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する」ことが書き込まれました。安倍政権は、消費税増税の影響緩和の「景気対策」と称して、「成長戦略」の名による法人税の減税(投資減税、復興特別法人税の廃止など)や、「防災」などを看板にした大型公共事業などを行おうとしています。来年度の消費税率3%引き上げによる増税額8兆円に対して、こうしたバラマキの規模は5兆〜6兆円にもなる見込みです。

「自己責任」「家族責任」

 安倍政権・自民党は、社会保障を「国の財政の重荷」といって敵視し、全分野にわたる制度改悪と予算削減を計画。国民生活の基本は「自助自立」と「家族の支え」であり、「国に頼るのは恥」だと言いたてるような主張をふりまいています。すべての人の「生存権」をみとめ、貧困や生活苦から国民を守る責務は各国政府が負っているというのが、「世界人権宣言」などに明記された近代社会の原則です。自公政権の時代錯誤の宣伝は、国民生活をこわしてきた自らの悪政を居直り、社会保障にたいする政府の責任を放棄して、制度の改悪・解体を国民にのませるための攻撃にほかなりません。


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