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2013年11月15日(金)

虚構のGDP増 それでも消費税増税か

個人消費は伸びず 住宅駆け込み需要 大型公共事業乱発

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 内閣府が14日発表した7〜9月の国内総生産(GDP)速報値は前期比実質0.5%の増加にとどまりました。プラス要因も安倍晋三政権が来年4月に実施を狙う消費税増税を当て込んだ「みせかけ」にすぎません。 (清水渡)


 「内需の動きに底堅さが見られ、景気が引き続き上向いていると考えている」―。GDP発表を受けた談話で、甘利明経済財政担当相は景気の引き続く上昇を強調しました。しかし、足元で経済成長は大幅に減速しています。7〜9月の成長率を年率換算すると、1・9%増です。これは1〜3月の4・3%増、4〜6月の3・8%増と比べて、半分程度にすぎません。

家計の所得減少

 深刻なのは個人消費の伸び悩みです。家計最終消費支出は前期比実質0・1%増にとどまり、1〜3月の0・8%増、4〜6月の0・6%増と比較すると、伸び率は大幅に縮小しました。

 個人消費が伸びないのは、家計の所得が減少しているからです。雇用者報酬の伸び率は同0・6%減です。厚生労働省の毎月勤労統計によると、基本給と残業代などを合わせた「決まって支払われる給与」は16カ月連続で前年同月比を下回っています。一方で、今年に入ってからは、「アベノミクス」(安倍政権の経済政策)による円安加速でエネルギーや食料など輸入品を中心に物価が上昇。6月以降4カ月連続で消費者物価指数が前年同月比プラスとなりました。

 GDPの6割近くを占める個人消費が伸び悩んでいるのに、成長率がプラスになったのは、民間住宅(前期比実質2・7%増)と公的固定資本形成(同6・5%)が大幅に増加したからです。

 民間住宅が伸びたのは、消費税増税を見越して住宅建設に駆け込み需要が発生したからです。しかし10月の「景気ウオッチャー調査」(内閣府)には「消費税増税前の駆け込み需要の反動か、今月の受注は3カ月前の状況までに落ち込んでおり、前年よりも悪い」(南関東・住宅販売会社従業員)などの声が寄せられており、早くも反動減が懸念されています。

 公的固定資本形成とは、公共事業のことです。アベノミクスの「3本の矢」の一つに掲げられた、「機動的な財政支出」により、消費税増税を前提に大型プロジェクトが乱発されています。

 アベノミクスによる円安効果ははげ落ちて、今回、輸出は同0・6%の減少でした。

 結局、消費税増税を前提にした動向によって、経済が成長しているように見えるだけです。

国民生活応援を

 日本経済の危機を打開し、健全な成長への好循環をつくるためには、消費税増税をやめ、国民の生活を直接応援することが必要です。

 非正規雇用の増加が家計所得を押し下げています。この3年で、正規雇用労働者の賃金は月額31万1500円から31万7000円へ増加しました。一方で、非正規雇用労働者の賃金は19万8100円から19万6400円へ減少しました。正規雇用労働者のわずか6割の賃金しか受け取っていない非正規雇用労働者が雇用者全体に占める比率は、3年で0・8ポイントも上昇し、12年には35・2%と年平均で最多となりました。

 非正規雇用が増加し、家計の所得が低迷する一方で、大企業は内部留保を増額させています。内部留保の中核を占める利益剰余金は、上位100社の合計で09年3月期の46兆8000億円から13年の50兆3000億円へ、3兆5000億円も増加しました。この内部留保を活用し、賃上げを実行させることが必要です。

 安倍政権は「内部留保を活用して賃上げを」といっています。その一方で「賃下げ政策」を進めています。「世界で最も企業が活動しやすい国」の名目で、派遣労働を無制限に拡大し、解雇の自由化や「サービス残業」を合法化するなど、不安定雇用と長時間労働をいっそうひどくしようとしています。

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