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2013年11月6日(水)

幹部人事権 内閣官房に集中

公務員改革法案 労働基本権回復なし

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 安倍内閣は5日の閣議で、中央省庁の幹部人事を内閣官房が一手に握る国家公務員制度改革関連法案を決定し国会に提出しました。労働基本権の回復もせず、首相と官邸に人事権限を集中し、内閣・政権党いいなりの公務員をつくるものです。

 対象となるのは、各府省庁の部長・審議官以上の約600人。

 官房長官が幹部候補者名簿を作成。閣僚は、首相や官房長官と協議した上で人事を決めるとし、幹部職員を降格できる規定も初めて盛り込みました。

 幹部人事を一元的に管理する内閣人事局を内閣官房に設置。人事院や総務省が担っている機構・定員管理、採用、任用、評価、研修なども移管します。

 労働基本権制約の代償措置である人事院について、各府省の給与ランク別の定数(級別定数)などに関して「人事院の意見を十分に尊重」としただけで形骸化させる仕組みです。

 内閣人事局の体制は100人以上とし、局長は3人の官房副長官から首相が任命。首相の意向を直接反映させるねらいです。

 さらに公務員の政治任用を行う「大臣補佐官」を新設。内閣府は6人以内、復興庁と各省は1人以内としました。「官民人材交流(天下り・天上がり)の推進」とともに、公務員の中立・公正性を損ない、全体の奉仕者である公務員制度を変質させる内容です。

解説

「政府・政権党の奉仕者」に変質

 安倍内閣が提出した国家公務員制度改革法案は、公務員を「全体の奉仕者」から「政府・政権党の奉仕者」に変質させるものです。

 日本の公務員制度は行政の中立・公正性と安定した公共サービスを確保するため公務員に身分保障を行い、労働基本権制約の代償措置として設けられた人事院が使用者である政府から独立して人事管理を行ってきました。

 ところが、政府案では、人事管理を使用者である政府が一手に掌握。内閣官房長官が幹部候補名簿の作成を行うのをはじめ、幹部の降格も可能とし、公務員を政治任用する大臣政務官の導入などその時々の政府・政権党いいなりの公務員をつくりだす仕組みです。

 一方で、国際労働機関(ILO)から8度も勧告され、2008年成立の国家公務員制度改革基本法で「自立的労使関係制度を措置する」と定められた公務員の労働基本権の回復にはまったく背を向けています。これでは政権党の顔色だけをうかがうヒラメのような公務員をつくりだすだけです。

 公務員制度改革で求められるのは、内部から行政を民主化していくためにも労働基本権を回復することは待ったなしの課題です。

 政官財の癒着をなくすために天下り・天上がりの禁止、事務次官を頂点とする特権的官僚制度の廃止など国民の奉仕者となることを保障する公平・公正・民主的な制度をつくることこそ急務です。 (深山直人)


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