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2013年10月30日(水)

厚労省助成案 難病重症者は負担増

所得に応じ限度額設定 軽症者は対象外に

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 厚生労働省は29日、難病対策委員会(金澤一郎委員長)で、難病医療費助成の新たな制度案を示しました。来年の通常国会への法案提出をめざすとしています。

 医療費助成の対象疾患の考え方として、年齢に関係なく(1)患者数が人口の0・1%程度以下(2)原因不明(3)効果的な治療方法未確立(4)生活面への長期にわたる支障―の4要素を満たし、客観的な指標に基づく一定の診断基準が確立している疾患としました。

 対象は、現行の56疾患から約300疾患に増える見込みです。一定程度症状が重い患者が対象。軽症者は原則対象外ですが、症状を抑えるために高額な医療を継続して受ける必要がある患者は対象となります。

 医療費負担割合を3割から2割にし、所得に応じて負担限度額を設定。住民税非課税世帯は最大6000円、年収370万円未満までは1万2000円、同570万円未満までは2万4600円、同570万円以上は4万4400円としました。

 現行では、患者が生計中心者の場合、半分に減額されますが、新制度案では半額措置がなくなります。重症患者は無料とする措置もなくなります。

 障害者総合支援法の対象範囲は、医療費助成の対象疾患の拡大を踏まえて、見直しをするとしています。

難病当事者らが会見・懇談会

「実態に合ってない」

 厚生労働省が示した素案に対し、患者当事者らは東京都内で懇談会や会見を開きました。

 日本難病・疾病団体協議会の伊藤たてお代表理事は素案が70歳以上の高齢者の高額療養費制度を参考につくったことに触れ、「生涯、病気を抱えて生きていく難病患者と高齢者では世帯構成や収入、貯蓄などさまざまな面で違いがある」と批判。大幅な負担増について懸念を示しました。

 作家で自己免疫系の難病を持つ大野更紗さん(29)は会見で、年収160万円世帯の医療費負担額の割合が現行の約2%から約10・6%にも跳ね上がることを示しながら、「難病は一定の割合で誰でも発症する可能性があるのに、(対象疾患が増えた分の医療費を)患者間で負担しろということでいいのか」と強調。「難病患者が利用できる社会保障制度がほとんど整備されていない中で医療費助成は、生存維持のための唯一の安全網だ」と述べました。

 現行の医療費助成を受けている筋無力症の女性(53)=東京都八王子市=は「対象疾患が増えるなら負担増はやむを得ないと考えていたけれど、ここまで引き上がるなんて。患者の生活実態に合っていない」と批判します。女性は今月中旬、体調が悪化し10日間入院。治療費以外に差額ベッド代など約6万円かかりました。「医療費以外にも負担が大きいことも考慮してほしい」と強調しました。

 現行では対象外のアイザックス症候群の女性(37)=鹿児島市=は対象疾患が広がることに期待を持つ一方、素案の負担額に難色を示します。「仕事をしたくてもできない中で、年金生活の両親に頼らざるを得ない最低限の生活です。少しでも負担は少なくしてほしい」

 潰瘍性大腸炎の男性(54)=札幌市=は、重症者だけを対象にすることに対し「対象疾患が広がっても重症とされない人が対象外でいいのか」と批判しました。

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