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2013年10月28日(月)

政治考 新たな政党状況

与党からも「自共対決国会」の声

“遠慮なく本質突く”

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衆参両院で安倍首相(中央)の暴走を追及した日本共産党の笠井議員(左)と小池副委員長(右上)

 「国会では与野党の論戦が続いていますが、野党のうち共産党は、参院選挙以降、好調な党の勢いを維持しています」

 23日早朝、NHKニュースの「ここに注目!」コーナーで「共産党の躍進は本物か」と題する解説が放送されました。

 解説委員は、参院で11議席となり獲得した議案提出権をさっそく行使して、臨時国会の冒頭にブラック企業規制法案を提出したこと、NHKの世論調査で政党支持率が自民党、民主党に次ぐ第3党となったことを紹介。

 「好調さの理由は?」というアナウンサーの問いに、解説委員は「野党らしい野党ということだ。安倍自民党との対決姿勢を示して、『自共対決』をうまく演出している。民主党とは対照的」と述べ、「一点共闘」の重要さにも言及しました。

火花が散る状況

 実際、衆参の予算委員会は「自共対決」の火花が散る状況です。

 22日の衆院予算委員会で日本共産党の笠井亮議員は、福島第1原発事故現場における放射能汚染水漏れをめぐり、「汚染水の影響は完全にブロックされている」と繰り返す安倍晋三首相の認識を追及。福島県民の怒りもぶつけ、「ブロックされているとか、風評とかいって事態を小さく見せて、まともに対応しないってことではダメだ」と批判しました。

 翌日の「毎日」は、首相をかばって何度も答弁に立つ茂木敏充経産相に、笠井氏が「そういうのを完全ブロックという」と一喝したことを大見出しにし、「国益に関する政策論争が求められている局面に好敵手の見当たらない現状に、政府・与党から『自共対決国会』の声が出始めた」と報じました。

 「トヨタや日産みたいに労働者を使い捨てにするやり方が、地場の中小企業にまで広がって悪影響を広げている。小池さんの質問は企業経営のあり方を示している」

 24日の参院予算委員会での小池晃副委員長の質問を聞き、感激して電話をかけてきた東京都大田区で自動車会社を経営する男性(68)はこう述べます。

 暮らしも経済も財政も壊し、貧困と格差を拡大、黒字企業だけ復興特別法人税を廃止する理不尽…。小池氏は消費税増税にひとかけらの道理もないことを明らかにするとともに、賃上げは法人税減税ではなく大企業の内部留保の一部を取り崩せば可能であり、人間らしい質の高い雇用が世界の流れであることをつきつけました。

面白く頼もしい

 首相は小池氏の指摘に「たしかに」を連発。英国の大手通信社ロイターの電子版は、小池氏が「内部留保の活用を政労使協議で首相から要請すべきだ」と指摘し、首相も「『私からもこれからお願いさせていただきたい』と語った」と報じました。

 自民党議員の一人は述べます。「共産党はいつも政治的遠慮がなく、本質をストレートに突いてくる。汚染水問題や法人税減税と内部留保の問題でもそうだ。聞いていて面白いし頼もしいとさえ思う。内部留保論も、(自民党が)もともと共産党からもらっている」

他野党の存在感薄く

 日本共産党と他の野党をいっしょくたにして、「試される野党」「存在感が薄い」などと論じるメディアもあります。しかし、当事者は日本共産党との違いを実感しています。

批判見せないと

 民主党執行部周辺からは「衆院予算委員会を見て、政権に対し、食らいつく姿勢を唯一示していたのは共産党だった。前政権党だとはいえ、もう少し批判精神を見せないと民主党はもたない」という声がもれます。

 みんなの党の議員の一人は、渡辺喜美代表が衆院の代表質問で「長期政権の予感が現実になりつつある」などと安倍首相をもち上げたことについて、「国民的支持を失う中で分裂状態を深めており、渡辺代表は孤立感を強めている。それが安倍首相への“秋波”につながっている」と解説。「みんなは分裂状態、民主は沈没、維新はカオス(混沌)。その中で共産党だけが自民党に対するアンチテーゼを明確にして支持率を上げている。3年前に5〜6%の支持率だったみんなの党と共産党の勢力が逆転した」と述べます。

自民党はどこへ

 「一強」といわれる自民党のなかからさえ、「自民党にいながら、いまこの党には“そもそも論”がない。TPPだって守るべき『国益』の定義がないし、集団的自衛権で何をするのかもわからない。正直どこへ向かっていくのかわからない。“そもそも論”に戻るべき時期がとっくに来ているのに古いままだ。共産党とは解決方法が違うところが大きいが、自民党も自分の解決が本当に正しいかわからなくなっている」(前出の同党議員)との声がもれてきます。

 (このシリーズは、中祖寅一、前野哲朗が担当しました)


対案実現の道筋を開いて

 神戸学院大学の上脇博之教授(憲法学)の話 自民党政治の転換への期待が、この間の政治プロセスの根本にある。民主党はその期待を受けて政権に就いたが、期待を裏切り国民から見放され、対決姿勢を評価されて共産党が躍進した。いま共産党は、国会論戦を通じて政治の対決軸を明らかにし、自民党政治の本質がどのようなものなのかを示し、対案実現の道筋を開いてゆくことが重要だ。

 民主党は、自民党が批判を受ければ、いずれは振り子のように自分のところに支持が戻ってくると考えるのは非常に甘い判断だし、無責任だ。野党として国民の立場に立って、一致できるところは共産党とも協力し、自民党と対決するという姿勢も示せなければ政党として存在価値をますます失うだろう。今求められているのは、世論と運動の力を国会内のたたかいに反映させ、野党協力を進めることだ。


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