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2013年10月20日(日)

秘密保護法の最終案

知る権利 否定なのに「配慮」

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(写真)秘密保護法を考える超党派の議員と市民の勉強会。テーブル左端で発言しているのは穀田恵二国対委員長=16日、衆院第1議員会館

 秘密保護法案の最終案で、政府と公明が“歩み寄り”「取材の自由」や「知る権利」への配慮が盛り込まれたことで、大きく「改善」されたかのように言われています。公明党の山口那津男代表は「公明党が与党としての役割を果たした」(17日)などと見えを切っています。

 しかし、「修正」といっても、法案の基本構造に何の変化もないうえ、「修正」内容自体に重大な問題があります。

 最終案では、報道機関などによる取材については「専ら公益を図る目的を有し、法令違反または著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とする」とされました。

曖昧な基準で

 報道機関による取材が「著しく不当」か、「正当な業務行為」かを判断するのは誰か。基準が曖昧で取り締まりを行う行政機関によって恣意(しい)的に判断されかねません。そのうえ、依然として秘密へのアクセスは「犯罪」に当たることを前提としています。これでは、報道機関も原則として捜査対象とされ、携帯電話やパソコンなどが根こそぎ押収の対象とされ、訴追を受けて司法判断を経て見なければ「正当な業務」かどうかはわからないことになります。「著しく不当」という基準自体、曖昧で処罰範囲が明確でなく、大きな萎縮効果をもたらします。

 また「出版または報道の業務に従事する者の取材行為」という範囲を設けており、一般国民がインターネットで情報発信する目的で、情報=「秘密」にアクセスする行為は明確に除外されます。

恣意的に選別

 「朝日」18日付によると、自民党プロジェクトチームの町村信孝座長は「テロリストが雑誌会社をつくって『取材の自由だ』と言うこともありうる。訳のわからない『ジャーナリスト』もいる」(17日)などとし、政府が“怪しい”と疑う者は、報道機関と認めない姿勢を示しています。政府の判断一つで取材を保障される「報道機関」であるかどうかが恣意的に選別されてしまうのです。

 憲法上、「知る権利」を保障した明文の規定はありません。しかし、民主政治のプロセスが充実するためには、国民や報道機関の情報発信の自由と共に、その前提となる情報収集の自由が必要です。行政機関に集積された情報は主権者国民に開かれるべきものです。

 これに対して、秘密保護法案は政府が秘密の範囲を勝手に決め、国民には何が秘密かも知らされないまま、国民に重罰を科すというものです。

 「知る権利」の重要性をまったく無視した内容であるにもかかわらず、「知る権利」への「配慮」規定を入れることは矛盾であり、国民の批判をかわすための粉飾にすぎないといわざるを得ません。

 (中祖寅一)


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