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2013年10月19日(土)

改憲誘導の公民教科書を押し付け

竹富町への「是正要求」指示

沖縄県に文科相

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 下村博文文部科学相は18日、育鵬社版の中学公民教科書を拒否して別の教科書を使用している沖縄県竹富町教育委員会に対し、地方自治法に基づく「是正要求」をするよう県教育委員会に指示しました。育鵬社版の不使用が、同一採択地区内では同一教科書を採択するという教科書無償措置法に違反しているというのが理由です。


 「是正要求」が出されれば教育行政に関しては初めてで、竹富町は「是正」する法的義務を負いますが、従わない場合の罰則規定はなく、不服がある場合は審査の申し出ができます。国側は従わない自治体に対し違法確認訴訟を起こすよう県に指示できます。

 沖縄県の八重山採択地区(石垣市、竹富町、与那国町)では2012年度から使用する中学校公民教科書について、採択協議会が十分な議論も合意もなく育鵬社版の選定を答申。これを受けて石垣市と与那国町は育鵬社版を採択しましたが、竹富町は東京書籍版を採択しました。

 同一教科書が採択されなかったため、八重山地区3市町の全教育委員による協議が行われ、東京書籍版の採択を決めました。しかし文科省はこの協議結果を認めず、先の協議会答申に従い育鵬社版の採択を求めました。竹富町はこれを拒否。無償措置の対象から外されたため、寄付金で東京書籍版を購入して使用しています。石垣市と与那国町は育鵬社版を使用しています。

 育鵬社版公民教科書は侵略戦争を美化する「日本教育再生機構」が主導してつくり、子どもを改憲に誘導する内容になっています。

解説

育鵬社版推進の安倍首相

侵略美化、改憲の本質示す

 育鵬社版教科書は侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」から分裂した「日本教育再生機構」が主導してつくったものです。中学校の教科書採択が一斉にあった2011年、自民党はこの教科書の採択に党を挙げて協力してきました。

 安倍首相自身が再生機構の行事に参加し、育鵬社版の採択率アップを呼びかけ、育鵬社版教科書採択「大躍進」の祝賀会には祝福メッセージを寄せました。首相になってからは、政府の教育再生実行会議のメンバーに再生機構の八木秀次理事長を選んでいます。

 「是正要求」という法的な強制手段までとって竹富町の子どもたちに育鵬社版教科書を押し付けようというのは、教育に対する国家権力によるむき出しの政治介入です。侵略戦争を美化し、憲法改悪を狙う安倍政権の本質を示しています。(高間史人)


 「是正要求」 地方自治体の自治事務処理が法令に違反するか、明らかに公益を害しているとみなされたとき、担当大臣が「是正」を求めること。地方自治法で定められています。2009年に住民基本台帳ネットワークへの参加を拒否していた東京都国立市と福島県矢祭町に出されたことがあります。市町村にたいする「是正要求」は、大臣が都道府県に指示して市町村に要求させる場合と、大臣が直接市町村に要求する場合があります。


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