2013年10月11日(金)
介護保険外し 高齢者は「命に関わる問題」
北海道連絡会が調査
介護事業所と介護労働者の労働組合、利用者でつくる「介護される人もする人もみんな笑顔に!北海道連絡会」(石井秀夫、松原清共同代表)は10日、札幌市で記者会見し、「要支援者が介護保険から外された場合に予想される問題点」の事例調査の結果を発表しました。
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厚生労働省は、要介護度が「要支援1、2」と認定された「軽度者」の介護サービスを保険給付の対象から外すことを打ち出しています。
全国で約150万人、北海道内で約8万人が対象となり、訪問介護・通所介護などでは利用者の3割程度が該当します。
調査は同連絡会に加盟する事業者のケアマネジャーなどの職員が中心になって、要支援1と2の利用者から直接聞き取ったもので、札幌圏や旭川、函館、釧路などから269人分(女性213人、男性56人)が集まりました。
勤医協月寒居宅介護支援事業所のケアマネジャーの小松谷智子さんは「利用者は、自分たちが“切り捨てられる”と感じている。うつや病状が悪化することを懸念しています」と語り、多くの人が強い不安や心配を抱えていることが明らかになりました。(別項参照)
連絡会では今回の調査結果から、「要支援者」は決して(介護の必要が)「軽度者」ではなく、専門職による介護保険サービスを利用することで今の生活をなんとか維持していること、要支援者の“介護保険外し”は人の命に関わる大問題だということが明らかになった――としています。
訪問看護受けられなくなる 筋力低下・閉じこもり懸念
【独居・要支援2】糖尿病、高血圧、心臓疾患がある85歳女性―買い物代行のため訪問介護、他者との交流のためデイサービス、健康状態の観察などのため訪問看護を利用。
「介護保険から外されてしまうと、経済的に苦しくなり、今までのサービスを受けることができなくなる。どうやって生きていけばいいのか」
【老々世帯・要支援1】全盲、高血圧症の83歳女性―全盲のため、薬の内服管理ができないので訪問看護で管理や血圧を確認。
「これ以上お金がかかるなら、看護師さんに来てもらうのをやめるしかない」
【認知症・要支援2】逆流性食道炎、不眠症、アルツハイマー型認知症などの81歳女性―訪問介護週1回、デイサービス週2回利用。サービスが利用できなくなることで筋力低下や閉じこもり傾向が懸念。
「介護のお世話をうけて何とかなっている。これからどうなるのか不安」
【がん治療・要支援1】ぼうこうがん、大腸がんなどの89歳男性―大腸がん手術後の人工肛門から便、腸管の腸液が排せつされ、週3回処置が必要。デイサービス週1回、訪問看護を週2回利用。処置回数や入浴回数が減ることで皮膚のトラブルが悪化する可能性。