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2013年10月8日(火)

「きっと勝つ」 争議31年

ネスレ労働者 和解への道程

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 ネッスル日本労働組合と兵庫労連は、世界最大の総合食品メーカー、ネスレ(本社・スイス)の日本法人ネスレ日本(神戸市)に対し、対等の立場で労使関係を正常化させました。31年の争議をふりかえりました。 (田代正則)


 「長い争議だったが、負けなかった。つぶされなかった」とかみしめたネッスル日本労組の播戸夏樹委員長。1日、日本語と英語の合意書にサインしました。

 今年7月に60歳の定年を迎え、1年更新の契約で雇用継続しているところでした。「職場にいるうちに解決できた」

 解決を心待ちにしながら、31年のあいだに職場を去っていった労働者もたくさんいました。

組合分裂の攻撃

 「ネスカフェ」「キットカット」などで日本に定着しているネスレ。日本で営業を始めて、今年で100年です。

 ネッスル日本労組は1965年に結成され、頸肩腕症の問題を取り上げたり、労働者が健康に働き続けられる職場づくりのために要求をとりあげていました。それを嫌悪した会社は、組合を破壊するためのインフォーマル組織をつくりました。

 82年〜83年に、組合分裂の攻撃が仕掛けられ、ネッスル日本労組は職場の少数派に追い込まれました。

 組合は、裁判闘争で、会社を断罪する命令・判決・決定等を100件以上勝ち取っても、会社の攻撃が続きました。

 転機は2005年、経済協力開発機構(OECD)が多国籍企業に責任ある行動を求めた「OECD多国籍企業行動指針」に沿って、組合側が、労働者の権利侵害を申し立てたことでした。

 申し立ての当初は、日本政府に設置されたOECD連絡窓口で手続きが停滞しました。日本共産党の笠井亮衆院議員が、07年6月に国会質問で取り上げたことで進展しました。

 指針の枠組みでは、法的拘束力のある決定を出しません。代わりに紛争が解決するまで年次総会に報告され続けます。早く解決しないと、企業の信頼が低下します。

本社が姿勢転換

 多国籍企業であるネスレは、世界各地で指針違反の申し立てを受け、近年、スイス本社は姿勢を転換し、現地法人に対し「どのような少数組合とも話し合いの場を設定すること」を奨励していました。

 和解内容の履行の確認書には、ネスレのスイス本社役員と、全労連の大黒作治議長が名前を連ねました。全労連に結集し、ネッスル日本労組と連帯する日本のすべての労働者が見届け人となったのです。

 「これで、職場で気軽に話ができる」と前海明(ぜんかい・あきら)書記長は、しみじみ話します。

 これまで、会社の圧力で、ネッスル日本労組の組合員とは、あいさつもできない雰囲気がつくられていました。職場の人間関係が深く傷つけられてきました。

 播戸委員長は、「きっと、少しずつ慣れていきます」と職場の仲間へ信頼を込めています。「これまでなかなかできなかった、職場の要求を集め、合理化とのたたかいや、労働条件の向上に取り組んでいきたい」


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