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2013年10月1日(火)

堺市長選 勝因は

「堺はひとつ」市民が共同

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 9月29日投票の堺市長選で、橋下徹大阪市長が率いる「維新の会」の候補に圧勝した現職の竹山修身(おさみ)氏。大阪の首長選で維新が総力戦で臨んだ選挙で、なぜ大差での当選を勝ち取れたのか。堺市民は口々に語ります。「堺はひとつ」の市民共同の勝利だと―。(藤原直・竹原東吾)


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(写真)朝の駅頭で市民にあいさつする竹山修身市長=30日、堺市・堺東駅前

 「ウオォー!」。29日午後8時。投票締め切り直後の「当確」の報に、竹山事務所前に集まった大勢の市民から、爆発的な歓声と拍手がわき起こりました。

 「『大阪都』構想から堺を守った」。涙を流し抱き合う人々も。

 勝因はなんだったのか―。三国丘高校OBで竹山氏の後輩という男性(56)=堺区=は言います。

 「やっぱり『堺はひとつ』ですよ。『都』構想で堺が分断されることに対して堺市民が党派を超えて結集した。『なんで橋下さんの勝手でおれたちの愛する堺が分けられなあかんねん』と」

 美原区から駆けつけた女性(63)は、「堺市の税収が府に吸い上げられたら、中3までのワンコイン(500円)医療の堅持も、小中学校へのエアコン設置もできなくなるでしょう」

 選挙中、維新側が竹山氏支援側を“相乗り”“談合”と攻撃し続けました。しかし、市民の共同の前には通用しませんでした。

 ある自民党市議も「共産党も民主党も自民党も関係ない。(共産党の奮闘を)大きく評価しています」と述べました。

 市議会の平田多加秋議長は言います。

 「市民も各政党も大義のもとに立ちあがった。なによりも堺市民の勝利ですよ」

 平田氏は、日本共産党も加わる「住みよい堺市をつくる会」の連日の宣伝についても「勝利への大きな原動力になったと思う。全駅でのビラ配布なんて、ほかでできるものじゃない」と語りました。

「新しい市民運動の誕生」

無党派の維新離れも鮮明に

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(写真)市長選最終日、竹山修身市長候補の街頭演説で「堺はひとつ」と声を上げる市民=28日、堺市・堺東駅前

 9月29日投票の堺市長選で、大奮闘したのは、堺を守るための共同に立ちあがった広範な市民たちです。

 「堺はひとつ」「堺をなくすな」をスローガンに竹山修身氏を支援した「堺はひとつ」市民の会の会長で市自治連合協議会会長の静(しずか)又三さんはいいます。

 「堺の独立がなくなることに対して、ここで生まれ育った人、住んではる人が『それはないやろ』と思うのは当然です。それと、石原(慎太郎)さんや橋下(徹)さんらの危険な言動。それで市民がひとつになった」

 竹山氏の当選を、目を真っ赤にして喜んだ堺市に住む落語家の笑福亭竹林さんは、選挙戦をこう振り返ります。

 「途中、盛り上がりを感じられないときもあった。でも、自分自身もチラシ配りやらお手伝いをさせてもらっているうちに、一人ひとりのおっちゃんやおばちゃんがほんまに熱心に運動してくれていたんです。『住みよい堺市をつくる会』も毎日新しいビラをつくって、それこそ全部の駅で配ってくれて…。それを見たとき僕は本当に大感激しました。市民の勝利やと思います」

 竹林さんたち無党派市民らが行った「堺大好き堺っこ大集合アクション」。西区の女性(55)は、日本にキリスト教を伝えた宣教師で、堺にゆかりのあるフランシスコ・ザビエルの服装であちこちの宣伝に登場して奮闘しました。

「泥くさい仕事」

 女性は、言います。

 「市長や自治体の役割っていうのは本来ものすごく泥くさい仕事だと思うんです」

 住民の命を守り、福祉の増進に努めるのが仕事だといいます。

 市政に関するタウンミーティングを全区で熱心に繰り返してきた竹山氏。どんな祭りや行事にも顔を出してくれると市民の間では評判です。

 「市長がお祭りに顔を出しただけでも『この間いっていた下水道料金の話、なんとかしてください』とか一言言えるわけです」―それが、“僕が民意”の橋下氏との違いだといいます。

 「橋下さんは府知事のときは、ある意味広域的な仕事を受け持つ首長であまり目立たなかったのかもしれませんが、市長になってから市民生活のことを考えていないことが目立ち出したんちゃいますか。言うこともコロコロ変わるしね」

 “竹山氏は各党相乗り”との維新の非難にも「地方自治というものに対して維新が論外なことをいっているので、多少ともまともな政党・会派なら、それに反対するのは当然でしょう」と気にかけませんでした。

 市議会会派・ソレイユ堺の山口典子市議は言います。

 「新しい市民運動のウエーブの誕生です。堺市民が政党の枠や団体の主義主張を超えて『堺はひとつ』という一点に結集した。これは堺市民の、自由都市・堺のDNAです。新しい境地を開きました」

 山口市議は「共産党さんも、『住みよい堺市をつくる会』のみなさんも、政党間の駆け引きや線引きを超えて、竹山候補のビラをまき、地域で汗を流し、『堺はひとつ』で立ちあがっています」と語ってきました。

「弱者切りは嫌」

 今回の選挙で如実に表れたのが、“無党派層の橋下・維新離れ”―。

 この5年間で橋下氏への見方が変わったという人も少なくありません。

 「知事選に出馬したころは新鮮でシャープなことを言っていると感じたものだが…」と振り返り、橋下氏に敢然と立ち向かった竹山氏に一票を投じた堺区の男性はいいます。

 「私の場合、児童文学館を廃止したころから、おかしいと思い始めましたね」「票やカネにならない社会的弱者を切っていくという姿勢が一番嫌なところ」

 市長選でも、告示を前後して相次いだ大阪市での失政や暴走、公募区長や公募校長のセクハラ、不祥事…。

 堺市長選の結果は、橋下「維新」の退潮や「都」構想の破たんをいっそう鮮明に示すものです。

 開票結果は次の通りです。

当竹山 修身63無現  198431
(民主推薦、自民、「住みよい堺市をつくる会」支持)

 西林 克敏43維新 140569

(投票率50・69%)

市民の思い受け止め実行

竹山市長が新たな決意

 堺市長選で、「維新の会」候補に圧勝して再選を果たした竹山修身氏は30日早朝、堺市堺区の堺東駅前でマイクを握り、市民本位の市政発展にむけた新たな決意を語りました。

 竹山氏は「市民のみなさんのおかげで勝たせていただきました」と述べ、「『堺はひとつ』という市民の熱い思いをしっかりと受け止め、市民のための施策を着実に実行していきます」と力強く訴えました。

 足を止めて竹山氏の訴えを聞いていた会社員の男性(64)は、「橋下(徹・大阪市長)さんら『維新』のいう『大阪都』構想の説明は、ころころ変わってまったく信用できなかった。竹山さんには、堺をこのまま政令市として着実に発展させてほしい」と期待を語りました。

「都」構想は行き詰まり

 堺市長選の結果は、維新が「大阪都」構想で解体し、特別区に再編しようとしていた堺市で明確なノーの審判が下されたということであり、大阪市での行き詰まりと合わせて同構想の破たんを示すものです。

 「読売」が9月8日付で報じた世論調査では、「都」構想が実現すれば解体される大阪市でもすでに構想への反対(47%)が賛成(45%)を上回っており、橋下氏らが来年秋の実施を目指す住民投票も厳しい状況です。


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