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2013年9月23日(月)

沖縄の廃棄物 福島に

米軍PCB処分へ

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地図:沖縄米軍廃棄物、福島へ

 沖縄の米軍基地跡から出た大量の有害物質のPCB(ポリ塩化ビフェニール)が、原発事故被災地の福島県いわき市の民間廃棄物処理施設で処分されることが22日、沖縄防衛局などへの取材で分かりました。処分を発注したのは沖縄防衛局と航空自衛隊で、市民からは反発の声があがっています。


「原発被害受けている上に…」

 いわき市の民間施設で処分されるのは1995年に返還された沖縄県恩納村の米軍恩納通信所の汚水処理槽から出たPCB汚泥、104トン、ドラム缶694本と、73年に米陸軍から引き継いだ航空自衛隊恩納分屯基地の汚水処理施設の汚泥から出た218トン、同1100本で、合わせて322トン、ドラム缶1794本です。

 処分先はいわき市のクレハ環境。恩納通信所跡分を沖縄防衛局が9月13日に、恩納分屯基地分を航空自衛隊那覇基地が7月22日にそれぞれ一般競争入札を行いました。いずれもクレハ環境が落札しました。落札金額は合わせて3億9500万円。

 米軍廃棄物のPCB処分について市民からは「原発事故による放射線被害を受けている福島県内で、さらに米軍の有害廃棄物の処理を市民の納得を得ないまま強行することは許されない」などの声があがっています。

 いわき市廃棄物対策課は「処分業者から入札に参加するとの通知を受けた。(安全性は)国が確認をしている」と受け入れる意向です。


解説

問われる政府・自治体

 PCBは1968年に発生したカネミ油症事件(米ぬか油中に混入したPCBなどが原因で1万3000人が健康被害を発症)を契機に72年に製造が禁止され、使用者の保管が義務付けられた有害物質です。

 沖縄の米軍PCBは2004年に国の全額出資でつくられた日本環境安全事業株式会社(JESCO)による処分が検討されてきましたが時期が確定しませんでした。

 環境省は昨年8月、低濃度のPCB廃棄物についての処分を民間処理業者に認める「制度改正」を実施、今年8月にはクレハ環境を含む8社が認定を受けました。同省はこれに先立ち昨年6月にいわき市の「協力を受けて」(環境省)、クレハ環境でのPCB焼却実証実験を実施、「施設周辺での排ガス中のPCB及びダイオキシン類濃度については基準値よりも低いことを確認した」と“安全宣言”しました。今回のPCB処分の入札者はなぜかクレハ環境1社でした。

 環境専門家からは「原発事故による放射能被害などで県民多数がいまだに避難生活を強いられていること、余震も続く不安定な地域に学問的にも検証が必要な有害物資の処分基準を緩和しての処分は慎重であるべきだ」などの指摘があります。

 さらに米軍基地による土壌汚染などの環境破壊については、原因者責任を貫くべきだ、との指摘があります。

 日本政府は「(地位協定で)原状回復義務はない」とする米軍の言い分を容認、処分の代行(費用負担を含む)を請け負っています。これだけの課題を抱えた米軍PCB廃棄物の処分を政府と自治体、民間業者だけの「密室協議」で実施することは非民主的としか言いようがありません。国会、地方議会などで十分に審議し、国民、県民の意見が反映されることは必要です。(山本眞直)


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