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2013年9月13日(金)

主張

賃上げ対策

家計支援こそ景気回復のカギ

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 安倍晋三政権は、国内総生産(GDP)などの経済指標が上向いて来年4月からの消費税増税の環境が整ったという判断を強めているといわれます。これはとんでもない誤りです。労働者の賃金は連続して下がり続け、家計の悪化が深刻な状態にあります。賃金が下がっているところに増税をしたら、国民の暮らしはますます大変になり、日本経済がどん底に落ち込むことは誰でもわかることです。いま政治がやるべきことは、消費税増税を中止し、賃上げ対策に全力をあげることです。

深刻な暮らしの指標

 賃金が上がらないのは、政府にとっても不安材料になっています。このため安倍首相は「賃上げの好循環を加速させる環境づくり」のためとして、政府、労働者、使用者の代表による「政労使協議」の開催を甘利明経済再生担当相に指示しました。今月中にスタートし、年内に一定の合意を得たいとしています。この協議が賃上げを正面にすえた議論の場になるなら労働者は歓迎するでしょう。

 問題は「賃上げの好循環」という議論の方向です。企業がもうかりさえすれば、やがて賃上げに回ってくるという「企業利益優先」の考え方が前提では、賃上げの環境はつくれません。第1次安倍内閣当時、戦後最長の好景気で企業は利益を拡大し、巨額の内部留保を増やしたのに、賃金はまったく上がらなかった事実があります。その反省もなく、「好循環」の環境づくりといって、企業減税や労働コスト削減の規制緩和など、企業の利益拡大のための協議の場にすることは認められません。

 政府は、経済動向を判断するなら、家計の実態に真剣に目を向けるべきです。厚生労働省が発表した7月の毎月勤労統計調査では、ボーナスがわずかに増えて現金給与総額が2カ月連続で前年同月を上回りましたが、肝心の所定内賃金(基本給)は、7月も減って14カ月連続の減少になりました。2000年と12年の月平均給与を比べれば、深刻さがさらによく分かります。現金給与総額は4万1347円の減少、基本給は2万2238円の減少です。

 家計の実態は、景気回復を実感するどころか、きびしい落ち込みが続いています。内閣府の8月の消費動向調査は、消費者心理を示す消費者態度指数が3カ月連続の低下になりました。賃金の伸び悩みに加えて食料品など生活必需品の値上がりが影響したとみられています。8月の景気ウオッチャー調査でも「やや悪くなっている」という比率が増え、景気の現状判断指数が5カ月連続で悪化しました。

政府の賃下げ方針中止を

 政府にいま求められているのは、賃上げによる景気対策に方向を転換することです。まず国家公務員給与減額の即時中止、自治体への職員給与減額強要の中止など、政府自身の賃下げ方針を改めることです。賃上げが「デフレ不況」打開のカギだといわれているとき、公務部門が足を引っ張る状態は異常です。最低賃金は時給1000円以上に引き上げるべきです。財界には、内部留保の一部を基本給の引き上げに活用するよう強く求めるべきです。賃上げで国民の所得を増やす対策は、経済を立て直し、消費税増税に頼らずに財政危機を解決する道を開くものです。


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