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2013年9月11日(水)

福島第1原発

汚染水漏れ 制御困難

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 東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)が、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9・0)とそれに伴う巨大な津波で史上最悪の原発事故を引き起こして、11日で2年半。しかし、放射性物質を含む汚染水が海へ流出し続け、地上タンクから大量の汚染水が漏れて地下水を汚染するなど、安倍首相の言葉とは逆に制御(コントロール)困難な状況です。


 タンクから漏れたのは高濃度のストロンチウム90などを含む汚染水で、その量は300トンと推定されます。

 汚染水は排水溝を通じて外洋に漏れ出た可能性が高いとみられています。漏れたタンクの周辺に掘った井戸の地下水からストロンチウム90などが検出され、汚染水が地下水と混じった可能性も出てきました。

原因わからず

 漏れたタンクはボルトで組み立て、接合部の間に、耐用年数5年のゴム製パッキンをはさみこむ「フランジ型」。底で漏れれば防ぐことができません。敷地内に300基あり、同型の7基の周辺でストロンチウム90などが出すベータ線が高線量で検出されました。

 東電は漏れの原因調査を始めましたが、先月19日に発覚して20日近くたつのに、どこから漏れたかさえわかっていません。

 漏れたタンクは、建屋地下などに流入する地下水を減らすために掘った12本の井戸から百数十メートル山側。東電はくみ上げた地下水を海に放出する計画ですが、計画の見直しを迫られる可能性もあります。

 一方、海に流出し続けている汚染水は、敷地内の海側にある配管やトンネルにたまった放射能汚染水が地下水に混ざったもの。政府は海に流出している量を1日300トンと試算。東電は2年以上前から流出し続けているとする試算を発表しました。

 配管やトンネルにたまった汚染水に含まれる放射能は、事故直後とほとんど同じ。東電は実態把握を含め抜本的な対策を怠っており、今も汚染水がどこにどれだけあるか、どこから土に染み出し、地下水を汚染しているのか、わかっていません。

タンクも満杯

 汚染水は、事故で溶融した核燃料を冷やすために注入している水が、放射性物質を溶かしこみながら、原子炉建屋地下やタービン建屋地下に流入したものです。

 東電は、これを処理して放射性セシウムや塩分を取り除き、再び原子炉に注水。処理後に出る濃い塩分や高濃度のストロンチウム90などを含む水をタンクにためています。

 しかし、原子炉建屋地下などにある880カ所の貫通部などから地下水が毎日400トン流れ込んでいるとされ、汚染水を増やしています。一番大きな1000トンタンクも2日半で満杯になり、すでに34万トンに上る汚染水をためています。東電は2年半後に70万トンに増やす計画ですが、汚染水が増え続ければ、それもいっぱいになります。

 いずれも制御とは程遠い状況です。

魚の汚染

 安倍首相がいう面積0.3平方キロメートルの福島第1原発港湾内。護岸近くで採れた底生魚アイナメで放射性セシウムが1キログラム当たり74万ベクレル検出し、出入り口に当たる港湾口でもタケノコメバルで同約12万ベクレル検出しています。

 港湾口では8月19日に採取した海水からトリチウム(3重水素)を1リットル当たり68ベクレル検出。しかし、港湾口には魚の出入りを防ぐ金網しかなく、安倍首相が胸を張った「完全にブロックされている」状態ではありません。


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