2013年8月18日(日)
双方 強硬姿勢崩さず
同胞団・暫定政権衝突80人死亡
エジプト
【カイロ=小泉大介】エジプト軍によるモルシ前大統領解任(7月3日)に抗議するイスラム主義組織・ムスリム同胞団は16日、全土で「怒りの金曜日」と名付けたデモを行い、治安部隊と激しく衝突しました。メディア報道などによれば、少なくとも80人が死亡しました。同胞団と暫定政権は強硬姿勢を崩しておらず、衝突・混乱の長期化は必至です。
モルシ氏復職を求めるムスリム同胞団が首都カイロでつづけていた座り込みを、治安部隊が14日に強制排除して以降、全土に衝突が拡大。カイロ中心部のラムセス広場では16日、数千人の同胞団が集結し、治安部隊と対(たい)峙(じ)しました。国営テレビは自動小銃を発射しながら同胞団デモに参加する男性の映像を流すなどしており、激しい銃撃戦となったとみられます。
ラムセス広場近くのモスク(イスラム教寺院)には17日午前の段階で1000人近い同胞団員や支持者が立てこもり、これを治安部隊が包囲しました。
同胞団のカイロのデモでは16日、国際テロ組織アルカイダの旗を振る参加者の姿も見られました。治安当局は全土で15の警察署が襲撃され、少なくとも警察官24人が殺害されたとしました。
暫定政権は16日の声明で「同胞団の悪意あるテロのたくらみとの対決において、政府、軍、警察、そして偉大なる国民は団結している」とし、徹底して抑えこむ姿勢を表明。内務省は17日午前までに1000人を超える同胞団員を逮捕したと発表しました。
一方、ムスリム同胞団は16日、「クーデター体制を拒否することは宗教的、国民的、道徳的義務となっており、放棄することはありえない」と声明で述べ、抗議のデモを今後1週間継続するよう支持者に訴えました。