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2013年7月28日(日)

主張

防衛大綱中間報告

「環境」変化で何でもありか

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 防衛省が安倍晋三政権として初めて策定する「防衛計画の大綱」の中間報告を公表しました。文字通り軍拡のプログラムです。

 安倍政権は発足直後、民主党政権時代の「大綱」の見直しを打ち出し、検討を進めてきました。中間報告は、中国や北朝鮮など「安全保障環境」が変化したことを理由に、日米軍事同盟強化と自衛隊増強の路線を露骨に打ち出しています。「環境」が変わったとさえいえば、これまで自民党政府でさえふみだせなかった「敵基地」攻撃や自衛隊の海兵隊機能の検討が許されるとでもいうのでしょうか。

海外で「戦闘する」態勢

 中間報告は、「敵」のミサイル発射台を直接たたく「敵基地攻撃能力」や、離島防衛に名を借りた自衛隊の「海兵隊機能」の強化、他国の軍隊を監視する無人機の導入、さらには「武器輸出三原則」の事実上の撤廃など、まさに軍拡要求のオンパレードです。これまで自民党政府は、「必要最小限」の軍備に限るとか、「専守防衛」などといってきました。中間報告は、「環境」の変化を口実にこれまで不可能だった野望を一気にやり遂げようとする、安倍政権の危険な狙いを浮き彫りにしています。

 いったいなんのために「敵基地」攻撃能力をもとうというのか。中間報告は、北朝鮮を念頭に「弾道ミサイル攻撃への対応能力を充実させる必要がある」としています。安倍首相は、日本が購入を続けているF35戦闘機を敵基地攻撃に活用するとものべています。自衛隊が敵基地攻撃能力をもてば、「専守防衛」の原則に反し、先制攻撃することになりかねません。

 自衛隊に「海兵隊的機能」をもたせることも大問題です。いまなぜなのか。米海兵隊は、米軍が海外で戦争するさい先陣を切る「殴り込み」部隊です。自衛隊が「海兵隊的機能」をもつことになれば、自衛隊が米軍と一体で、海外での強襲上陸などの作戦に参加することにもなりかねません。自衛隊はすでに「離島奪還」と称した大がかりな上陸訓練を米軍と行い、上陸作戦用の水陸両用車4両の購入も決めています。自衛隊の海兵隊化が、憲法はもちろん、「必要最小限」の軍備に限るという政府見解にさえ違反するのは明らかです。

 安倍政権は、日本が直接攻撃されなくてもアメリカとともに戦争に参加する「集団的自衛権」行使の検討を進めています。アメリカに向かうミサイルでも自衛隊がその発射基地を攻撃する「敵基地」攻撃や、自衛隊が米軍とともに作戦に参加する可能性が高い自衛隊の「海兵隊化」は集団的自衛権の行使を伴う大問題です。集団的自衛権の行使は歴代自民党政府でさえ憲法上行使できないとしてきた問題です。中間報告がその行使を否定していないのは、新たに策定される「大綱」の危険性を鮮明にするものです。

軍拡の“暴走”許さない

 安倍政権は「環境」が変化したといいますが、日本が軍拡を進め軍事でことを構えれば、地域と世界の緊張を激化させ、平和を脅かすだけです。日本を海外で「戦争する国」に変える企てをやめ、憲法9条を生かした平和の国づくりを進めることこそ重要です。

 安倍政権は参院選前の6月に公表するとしてきた中間報告を選挙後に遅らせました。国民と国際社会の批判を恐れるのは当然です。


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