2013年7月17日(水)
全政治囚 釈放へ
ミャンマー 年内に
イスラム系迫害の国境治安部隊は解体
【ハノイ=面川誠】ミャンマーのテイン・セイン大統領は15日、訪問先の英国ロンドンで講演し、今年末までにすべての政治囚を釈放すると述べました。これに先立ち12日には、イスラム系住民への人権侵害が批判を受けていた国境地域監視本部(NASAKA)の解体を発表しました。
大統領講演
大統領は講演で、「ミャンマーではいま、大きな変革が起きている。半世紀にわたる軍事支配と専制支配から民主主義に移行しつつある」と強調。武力紛争が続いた少数民族との和平についても、「数週間以内に全土で停戦が実現するだろう」と述べました。
ミャンマー政府は2011年5月から段階的に政治囚を釈放。今年2月には全政治囚の釈放に向けた調査委員会を設置し、囚人が有罪とされた罪状や適用した法律、刑期などを調査し、政治囚に該当する囚人の追加釈放を進めています。民間団体「政治囚支援連合(AAPP)」によると約170人が未釈放です。
解体が発表された国境地域監視本部は、軍、警察、税関、入国管理の当局者で構成され、国境治安部隊として活動してきました。
昨年6月と10月に西部ラカイン州で起きた仏教徒住民とイスラム系ロヒンギャ族の衝突では、少なくとも192人が死亡し、14万人が住居を追われました。被害者の大部分はロヒンギャ族で、国境地域監視本部の関係者もロヒンギャ族の迫害に加担したと非難を受けていました。