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2013年7月8日(月)

96条改憲はやっぱり「邪道」

“国民投票があるから”は成り立たず

安倍首相は「正当化」するが…

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 安倍晋三首相は、4日のNHKインタビューなどで、「国民の皆さんが国民投票という形で賛成して初めて成立するのが憲法であって、普通の法律は国会で、国会議員が1票入れて過半数を取ればそれで終わるが、憲法は違う」と述べています。国民投票があるから国会の改憲発議を「過半数」へと緩和しても法律と同じではないという「正当化」論です。日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)も、同様の発言を繰り返しています。

 安倍首相の主張は、国会の改憲発議の要件を緩和する問題点に正面から答えない、乱暴なすり替え論です。

 憲法改正が国民投票によって最終的に決まるのは、国民主権の表れとして本来的に不可欠だからです。憲法改正に国民投票が求められるからといって、改憲発議が法律と同じ要件でいいことの理由にはまったくなっていません。

 国会の改憲発議(96条)に通常の法律(41条)より厳格な要件が課されているのは、時の多数派・権力者が自分に都合よい改憲発議をすることができないようにするためです。議会内の少数派も合意し、3分の2以上の賛同を得て初めて、国民に対し改憲の提案(発議)が許されるのです。

 しかも改憲手続きの中で、憲法のどの条項をどのように変えるのか、その内容を決めるのは国会の発議です。国民投票は、発議に対してイエスかノーか決めるだけです。このような重要性からいっても、「国会議員は発議するだけ、決めるのは国民の皆さん」(安倍首相)などといって、発議要件を緩和してよいという議論はまったく見識を欠いています。

 そもそも、憲法96条が国会に付与した改憲発議の権限と、憲法41条が国会に付与している立法権は、まったく異質のものです。異質であるからこそ手続きが異なり、改憲発議には法律よりもはるかに厳重な「衆参各院の3分の2以上の賛成」が必要とされているのです。また、憲法改正に国民投票が必要とされているのは国民主権に関わるからであり、だからこそ国会の改憲発議は厳格にされているのです。こうした、当然の論点の検討さえなされていません。

 結局、なかなか改憲が進まないからルールを有利に変えるという発想しかありません。憲法論以前の「邪道」「姑息(こそく)」以外の何物でもないと批判されるゆえんです。(中祖寅一)


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