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2013年6月28日(金)

障害者差別解消法の成立 「合理的配慮」を求める

平等な社会へ第一歩

権利条約の早期批准を

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 障害者差別解消法が参院本会議で、全会一致で可決、成立しました(19日、2016年4月施行)。20年来、障害者団体が制定を求めてきた障害者差別禁止法。「障害者が人として平等に生きられる社会への第一歩だ」と多くの関係者が歓迎する一方、効力のあるものにするには課題が残っています。(岩井亜紀)


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(写真)障害者差別解消法の制定を求める人たち。あいさつしているのは佐々木憲昭衆院議員=5日、国会前

 「同法は、障害者基本法の理念に基づいて『障害を理由とする差別の解消を推進』すると明記した。私たちの運動の粘り強さの成果だ」。日本障害者協議会(JD)の太田修平理事は、こう評価します。

 同法制定に向けて政府は10年11月、差別禁止部会を設置。同部会は昨年9月、「意見」を取りまとめました。

「多くの課題」

 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協)も同法制定を歓迎します。その上で、「部会の『意見』の水準と比較しても多くの課題がある」と強調します。

 「意見」は、何が差別に当たるのか、社会に共通の“物差し”(定義)を提供することを求めています。一方、同法には「差別」の定義がなく、その代わりとして「差別」の具体例を示した「基本方針」を政府が今年度中に策定します。JDの太田理事は「基本方針で、障害者の人権を守る仕組みにすることが重要だ」と指摘します。

 同法は、「合理的配慮の不提供」を禁止します。たとえば、段差を解消するためにスロープを設置するなど(合理的配慮の提供)で、足の不自由な人や車いす利用者が障害のない人と同じように段差を越えられるようにしなければなりません。

 「合理的配慮の不提供」の禁止について、国の行政機関や地方公共団体等には法的義務を課します。一方、民間事業者には努力義務を求めるのにとどまります。

 差別禁止部会の「意見」は、紛争解決の仕組みとして相談や調整などを行う第三者機関の設置を提案していました。これに対し同法は、既存の機関等を活用するとしています。

見過ごせない

 障害者差別を禁止する法律はできても、差別的な制度や法律は依然としてあります。年金が給付されない障害者がいる年金制度。同じサービスを利用していても65歳になると介護保険に切り替えられ利用料が取られる障害者総合支援法の矛盾…。

 障全協の白沢仁事務局長は「国の障害者関係法・制度に基づく施策で、多くの障害者が生存権を侵害されている実態を見過ごすことはできません」と批判します。

 障害者差別解消法の成立で、国連の障害者権利条約批准に向けて関連法は一通り整いました。関係者は、権利条約の早期批准を求めています。

 白沢事務局長は「関連法には不十分な点が多く残る」と指摘。「実効性ある批准を求めることはもちろん、批准後は、同権利条約の求める水準に見合う中身を求めて運動をすすめたい」と述べています。


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