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2013年5月19日(日)

偽装質屋 被害広げた「収納代行」

「規制緩和」で法規制せず

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 質屋をかたったヤミ金融「偽装質屋」問題では、銀行などの年金受給口座から自動引き落としで年金が巻き上げられる被害が広がっています。そのさい使われている「収納代行サービス」が、金融庁の金融審議会部会の議論で「不適切な資金移動」に使われる懸念が示されていたにもかかわらず、規制緩和の流れのなかで、法的規制が見送られていたことが18日、本紙の調べでわかりました。

 (竹腰将弘)


08年 金融審で懸念指摘

 議論が行われたのは内閣総理大臣の諮問機関である金融審議会金融分科会第2部会「決済に関するワーキング・グループ」。2008年5月から12月にかけ、学者やITコンサルタント、電子マネー、通信販売などの関係業界代表らが、情報通信技術の革新やインターネットの普及にともない、主として個人が利用する少額決済の分野でうまれている新しいサービスについて制度的な枠組みのあり方を審議したものです。

 収納代行サービスについて、同年10月に示された「論点の整理」は、不適切な資金移動の防止について「不適切な利用者を排除できることが担保されれば…十分と考えられるか」とのべ、このサービスについての懸念を表明。議論のまとめで座長は「将来問題が起きて世間の騒ぎになってから規制をかけることになると、『後追い行政』だと批判を受ける」とのべていました。

 しかし、ワーキング・グループの全体の議論は規制緩和と「金融市場競争力の強化」を目的とするもので、関係業界代表らが「すでに確立したビジネスモデルの成長を阻害する」と強く主張し、新たな法的規制は行わない方向でまとめられました。

 金融庁は、「金融審の議論は安全性と利便性の両面から検討し、収納代行サービスを規制下におかないことを決めた」といいます。

 この結果、収納代行サービスは現在、いずれの官庁の監督下にもなく、法律上、許認可や登録などをする制度もありません。不正利用についての公的チェックもありません。

 ある金融機関の関係者は「ヤミ金の悪用で問題があることが明らかになったのだから、社会的に是正の方策をとるべきだ。金融機関だけでどうにかできることではない」と話しています。


 収納代行サービス コンビニエンスストア店頭での公共料金収納や宅配業者の代金引換サービスなど、商品の販売者とは別の事業者が代金を回収するサービスの総称。事業が先行して社会に広まったため、法的な位置づけが明確でありません。偽装質屋は、代金回収を他の事業者が行う「回収代行サービス」を悪用しています。

写真

(写真)08年10月のワーキング・グループ会合に示された「論点の整理」


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