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2013年5月10日(金)

きょうの潮流

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 貧窮の中、息子2人を施設に預けて働く母は、はがきで息子を励まします▼「何時(いつ)どんなことがあっても私達親子は元気に人生の道を、素直に生き抜くつもりです。…私も元気に土方の道に精進します。土方とは地球の彫刻家ださうですから」▼息子は「母からむすこに」と題する詩を母に送ります。「なあ、むすこや、おまえにいっとくが。/世の中ちゅうもんは、このわしには水晶みたいな/階段じゃあなかったぞ。/…じゃがいつもかも/わしは昇りおった…ときには明りのまるっきりない/昏闇(くらやみ)のなかにまで/はいってゆきおった/なあ、おまえ、うしろにひっかえすんじゃないぞ/ちっとばかし苦しいちゅうて/階段にすわりこむんじゃない」▼母親の背中を見つめる子の姿。親子は井上ひさしさんと母のマスさんです。横浜の神奈川近代文学館で開催中の「井上ひさし展」で見ることができます▼井上さんが残した数々の小説、戯曲には、どんなにつらい話でも笑いが織り込まれていてなごませてくれます。作家の松山巖氏は図録で「人生の苦を楽に変える逞(たくま)しい術(すべ)」を井上さんはマスさんから教わったと解説します▼井上さんが作詞した歌「ひょっこりひょうたん島」(共作)にもそんな精神がうかがえます。苦しいこと悲しいことがあっても僕らはくじけない、泣くのはいやだ笑っちゃおう。ひょうたん島のモデル「蓬莱(ほうらい)島」がある岩手県大槌(おおつち)町では、震災後も防災無線から毎日流れるこの歌が人びとを励ましているとか。


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