「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2013年5月5日(日)

マイナンバー法案 欠陥続々

国民に必要性示せず 犯罪に無策

経済界「狙いは社会保障削減」

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 全国民に番号をつけ、所得や社会保障などの個人情報を利用する「共通番号制(マイナンバー)」法案は、連休明けにも衆院本会議で採決、参院に送られるとみられています。自公民3党などは早期成立をねらっていますが、重大な欠陥が次々と浮かび上がり、徹底審議が求められています。


 欠陥の一つは、「なぜ必要なのか」を国民に示せないことです。

 政府は番号制のネットワーク構築に3000億円、稼働費用を年300億円と見込みます。しかし、「なかなか数値化が難しい」(甘利明経済再生担当相)として費用対効果を示すことができません。

 政府の遠藤紘一・情報化統括責任者(政府CIO)は「内部で試算したものはあるが、非常に仮定が多くて、外に出すには問題があるという判断で表には出ておりません」と述べています。

 みんなの党の大熊利昭衆院議員が、東京・文京区役所の25の事務手続きを示し、「すべてオンラインで完結するものはいくつあるのか」と質問しても、政府側は答えることができませんでした。

 政府は、「行政の効率化」には共通番号制が“不可欠”と繰り返しています。しかし日本共産党の赤嶺政賢議員が政府資料を示して追及すると、向井治紀内閣審議官は「現在その機関が使っている番号を使う場合もある」と答弁。既存の番号も活用できるとの考えを示しました。

 制度導入の根本を揺るがす問題で、赤嶺氏の質問を「毎日」は「制度設計や必要性に関して今後、国会論議に影響を与える可能性がある」(4月4日付)と報じました。

 「費用対効果を精査せずして推進するわけにはいかない。何より問題なのは、国民のメリットが全く示されていないことだ」。昨年4月、自民党の平井卓也衆院議員(現衆院内閣委員長)は都内の講演で共通番号法案についてこう指摘していました。この疑問は今も解決されていません。

最初から空文化

 番号制が使われている米国や韓国で多発する個人情報の漏えいや、別人が本人と偽って情報を得る“なりすまし”犯罪を防ぐことができるのか―。

 衆院の審議で与野党の議員が相次いで取り上げました。防止策の一つとして政府は「利用の範囲について、その範囲を法律できちんと限定する」(甘利担当相)としています。

 しかし、法案には3年後に利用範囲の拡大の検討を付則に盛り込んでいます。赤嶺議員は「対策は最初から空文化している」と批判しました。

 しかも、“なりすまし”犯罪が起きた場合、変更した番号を徹底する規定が法案にはありません。赤嶺氏は「民間利用が進めば、番号変更が行き渡らない」とのべ、範囲拡大が被害を大きくすることを指摘。向井審議官は「問い合わせがあれば直されていく」とのべ、対策を持ち合わせてない現状があらわになりました。

「資産まで把握」

 なぜ共通番号制が必要なのか、必要とする理由が示されないなか、はっきり述べているのが経済界です。

 1月に行われた政府の産業競争力会議でローソンの新浪剛史社長はマイナンバー導入で「所得のみならず資産も把握して、医療費・介護費の自己負担割合に差をつけ、結果的に医療費・介護費の削減につなげる」とメリットを語り、社会保障削減にねらいがあることを明かしました。

 経済界が共通番号制のシステムを使って健診データなどを企業に開放するよう主張していると、日本共産党の高橋ちづ子議員は指摘。田村憲久厚労相は「個人情報は守られながら、利用されていくものであろう」と述べ、経済界のねらいに同調する考えを示しました。

 日本共産党の赤嶺氏は、「税や社会保障の分野では徴税強化や社会保障給付の削減の手段とされかねない。『給付に見合う納付』の名での医療給付などの削減に用いられかねない」と批判しました。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって