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2013年3月19日(火)

マツダの雇用責任を認定

「派遣切り」山口地裁判決

たたかう各地の原告を励ます

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 マツダの防府工場(山口県防府市)を「派遣切り」されたユニオン山口の15人が正社員化などを求めたマツダ訴訟で、山口地裁(山本善彦裁判長)は13日、13人について正社員としての地位を認める画期的な判決を出しました。正社員の代替にしてはならないという労働者派遣法の原則に立ち、違法に働かせたマツダの雇用責任を認めました。判決のポイントを紹介します。(酒井慎太郎)


写真

(写真)勝利判決を喜びあうマツダ派遣切り裁判の原告や支援者=13日、山口市

 原告の15人は半年から5年7カ月間、主に派遣社員として勤務。2008年秋以降、派遣社員やマツダに直接雇用された期間社員として、契約満了で雇い止めされました。09年4月に提訴していました。

 最大の争点は、マツダが雇用責任を負わず、派遣のメリットだけを利用した違法性です。

 派遣法は、臨時的、一時的な業務に限って派遣の利用を認めています。正社員の代替にしてもいけません。これが派遣法の原則です。働き方は、あくまで直接雇用を原則とし、派遣という間接雇用は例外としているからです。

 この原則を保証するため、派遣は受け入れ期間が制限されています。原則は1年(07年3月から最長3年)です。この期間を超えて受け入れるなら、直接雇用にしなければなりません。

■期間制限逃れ

 マツダは製造業に派遣が解禁された04年に派遣を入れました。あわせて、3カ月と1日だけ直接雇用する「サポート社員」(のちに6カ月雇用)という制度を導入しました。派遣の受け入れ期間をリセット(クーリング期間)し、期間制限を逃れるためです。厚生労働省の指針では、派遣を受け入れない期間が3カ月に満たなければ、派遣が継続しているとみなされるからです。

 原告らは、派遣からサポート社員になると、3カ月後、再び派遣に戻されました。これを雇い止めされるまで繰り返しました。現場も仕事も同じでしたが、雇用形態だけを変えられました。

 このサポート社員制度について、判決は「単にクーリング期間を満たすためだけの方便として導入された」と指摘。クーリング期間の長短という形にとらわれず、再び派遣に戻すなど制度の運用実態から期間制限に違反すると認めました。

■臨時的一時的

 判決は、製造業派遣が他の業務に遅れて04年まで禁止されていた経緯にもふれ、「あくまで臨時的・一時的な労働力の需給調整制度と位置づけ、派遣可能期間などの規制を通じて常用代替の防止を図っていることは明らかだ」とのべました。

 マツダは、能力の高い派遣社員を職場に定着させるため、派遣社員にランクをつける評価制度まで導入しました。こうした制度の運用について、判決は「常用雇用の代替防止という派遣法の根幹を否定する施策を実施していた」と厳しく批判しました。

 これまでの判例の多くは、派遣先であるメーカー側の違法派遣は認めても、肝心の雇用責任までは認めませんでした。その要因は、違法派遣でも、それだけでは雇用関係を認めないとした09年12月の最高裁判決(パナソニックPDP=旧松下プラズマディスプレイ事件)があるからです。

 これは違法な偽装請負をめぐる訴訟で、08年4月に大阪高裁判決が旧松下側と請負社員との間に「黙示の労働契約」(暗黙の労働契約)があると認定しました。しかし、最高裁判決はこの大阪高裁判決を破棄。違法派遣というだけでなく、派遣会社との雇用契約を無効にする「特段の事情」が必要とするという判断基準を示し、労働者の訴えを退けました。

■「特段の事情」

 今回の山口地裁判決はまず、原告15人のうち、サポート社員を経験した13人の派遣を違法としました。そして「特段の事情」があるかどうかを検討しました。

 判決は、マツダと派遣会社とが共同して「組織的かつ大々的」に期間制限を逃れたと認定。期間制限違反に罰則がなく、国の指導・助言や改善命令などでは派遣社員を保護することができないとも指摘しました。さらに、派遣法の枠内ではマツダの責任を「不問にすることになる」とのべました。

 判決は、これらの事実から、派遣会社との雇用契約を無効にする「特段の事情」があると認定。また、マツダと派遣会社との契約は違法な労働者供給契約にあたり、公序良俗に反する無効な契約としました。

 そのうえで判決は、13人とマツダとの間に使用従属関係や賃金支払い関係などがあるとして、暗黙の労働契約の成立を認めました。労働条件については、マツダが派遣社員の定着をめざしていたことなどから「期間の定めのない労働契約が成立するというべきである」とのべ、正社員だとしました。

 今回の山口地裁判決は、契約の形式にとらわれず、労働者の置かれた実態からマツダの違法な働かせ方を厳しく批判しました。さらにマツダの雇用責任に踏み込み、原告を正社員だと認めました。不屈にたたかい続ける各地の原告たちの希望となる判決です。


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