2013年3月15日(金)
選挙権制限は違憲
成年後見制度で判決
東京地裁
|
成年後見人をつけると選挙権を失うとする公職選挙法の規定は憲法に違反するとして、知的障害のある茨城県牛久市の女性が選挙権の確認を国に求めた訴訟で、東京地裁(定塚誠裁判長)は14日、公選法の規定は「違憲で無効」とし、女性の選挙権を認める判決を言い渡しました。同規定についての司法判断は初。
原告の名児耶匠(なごやたくみ)さん(50)は2007年2月、父親の清吉さん(81)を後見人としたところ選挙権を失い、訴えを起こしていました。
判決は、「後見開始の審判で判断されるのは財産等を管理する能力の有無であり、選挙権を行使する能力とは異なる」として、同法の規定は、「国民に保障された選挙権に対する『やむを得ない』制限とはいえない」と判断しました。
判決は、「不正な投票が行われる可能性がある」という国の主張を退け、選挙権の制限は、障害者の自己決定権を尊重し、社会の一員として普通に活動できる社会を築くという後見人制度の趣旨に反するとしました。
原告側弁護団は判決後の声明で、「国会には選挙権という重要な権利についての司法の判断を尊重し、率先して同法(公選法)の削除に着手するように求める」としています。
井上議員が国会で提起
日本共産党の井上哲士参院議員は11年の国会でこの裁判を紹介し、成年被後見人の選挙権を奪う規定を問題として公選法の改正を求めていました。
成年後見人制度 認知症や知的障害、精神障害を理由に判断能力が不十分な人を保護、支援する目的で導入された制度。「後見」を受けると公職選挙法の規定によって選挙権を失います。