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2013年3月5日(火)

金融庁検査局に銀行員、証券取引委に証券マン

「天上がり」急増

7年間で1.8倍 中立性に疑問

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 民間から国の部局へ職員が就職・出向する「天上(あまあ)がり」が急増しています。「天上がり」が行われた部局数を企業別に見ると、三井住友銀行と東京海上日動火災が最も多く、それぞれ15部局です。上位10社には、みずほコーポレート銀行や三菱UFJ銀行なども入っていることが分かりました。この中には、企業への許認可権限や検査などを行う部署も含まれており、行政の中立性が疑われるケースもあります。


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(写真)金融庁が入る中央合同庁舎7号館=東京都千代田区

 「天上がり」の実態は、総務省が発表した資料で明らかになりました。この場合の「民間」とは、企業だけでなく、弁護士・公認会計士や大学教授、公益法人などを含んでいます。「天上がり」は、2006年の2352人から12年の4167人へ、7年間で1・8倍近くになりました。12年の「天上がり」職員4167人の3割超となる1360人が民間企業の出身者です。民間企業出身者の「天上がり」は7年間に1・6倍に増加しました。

 「天上がり」させている部局数の多い企業上位10社を見ると、銀行のほかNECやパナソニック、日立製作所などの製造業やJR東日本、三菱総合研究所なども入っています。

 企業からの「天上がり」状況を省庁別に見ると、経済産業省が最も多く401人、国土交通省の149人、内閣官房の137人などと続きます。

 「天上がり」経験者も、出している企業もその利点について「人脈を築けたこと」と述べています。内閣府が官民人事交流を行った企業から集めたアンケート(複数回答)では、官民人事交流を行うメリットとして「人脈づくり」が80・4%、「相互理解の深化」が60・7%を占めています。

 金融庁検査局には、三井住友銀行やみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行の3メガバンクすべてから「天上がり」しています。またゴールドマン・サックス証券やモルガン・スタンレーMUFG証券など外資系の証券会社からも入っています。

 検査局は、金融機関の財務や業務の適正さを検査する部署です。検査結果にもとづいて行政上の措置がとられることもあります。

 検査局は、「高度化する金融商品を適切に検査するために、民間から専門家を入れて知見を活用している。任期終了後、出身企業に戻る職員もいる。検査班は担当金融機関ごとに複数あるが、担当する金融機関出身者を入れていない」と述べています。

 また、金融庁の証券取引等監視委員会には、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行などのほか、三井住友信託銀行やメリルリンチ日本証券、東京証券取引所などからも入っています。

 証券等監視委員会は、証券市場などでの取引の公正を確保するため、証券会社の検査や証券にかかわる事件の調査をする機関です。調査結果に基づき、金融庁長官に行政処分を求める勧告を出す権限があります。

 証券等監視委員会は、「検査体制強化の一環として民間から人を募っている。出身企業を担当させないことで国民から疑われないようにしている。公務員の守秘義務が情報が漏れない担保となっている」としています。


 「天上がり」の仕組み 民間から国へ人材を受け入れるには、(1)任期付き職員(2)任期付き研究員(3)官民交流法(4)国家公務員への中途採用(5)非常勤職員―の五つの制度があります。任期付き職員・研究員は5年を上限に国の部局で働く制度で、任期終了後、出身企業に戻ることは可能です。官民交流法は一定の条件のもとで、出身企業の身分を保ったまま国の部署へ人事交流するもので、元の企業への復帰が前提となっています。非常勤職員にいたっては出身企業との兼職も可能です。


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