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2013年2月26日(火)

主張

最低賃金と中小企業

政府が目標もって対策を

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 「デフレ不況」から抜け出すために、政府が本腰を入れて賃金引き上げの政策をとることが求められています。中小企業への支援策をとりつつ、最低賃金を全国一律で時給1000円以上に引き上げることがとくに重要です。最低賃金の引き上げと中小企業への支援の強化で経済回復をはかる動きは、欧米では当たり前になっており、日本ができないはずはありません。肝心なのは、政府が目標をもって実行することです。

経営守る対策と同時に

 日本の最低賃金は全国平均時給で749円にすぎません。フランス1084円、イギリス928円、オランダ1021円、アメリカ753円など、最低の水準です(2012年の購買力平価で換算)。最低賃金で年間2000時間働いても年収は150万円以下にしかなりません。こんな低賃金では人間らしく働き生活することはとうてい不可能です。最低賃金の異常な低さが低賃金の労働者を生み出しやすくし、全体の賃金を引き下げる構造につながっています。

 働く人全体の賃金水準を底上げし、安定した暮らしができる収入を得られるようにするため、最低賃金制度がその機能を果たすようにすることは待ったなしの政治の責任です。

 最低賃金をせめて時給1000円以上に引き上げるためには、中小企業を支援する抜本的な対策をとる必要があります。中小企業は雇用の7割を支えています。しかし、不況下で仕事が減り、大企業による単価引き下げなどにより苦境に立たされています。いまこそ、中小企業を日本経済の「根幹」にふさわしく位置づけ、中小企業の経営を守る本格的な振興策を実施することが求められています。

 中小企業の最低賃金を引き上げるためには、賃金助成や税・社会保険料の減免など、しっかりとした対策が決定的です。ところが政府の中小企業支援は、2013年度予算案ではわずか26億円です。最低賃金を引き上げるための中小企業対策として、アメリカが5年間で8800億円(減税)、フランスは3年間で2兆2800億円(社会保険料の事業主負担分の軽減)を投じたのに比べると、あまりにも貧弱です。抜本的な予算の増額をはかる必要があります。

 最低賃金引き上げは中小企業の経営を守る対策と同時並行ですすめることが重要です。大企業による単価の買いたたき、一方的な発注中止をやめさせ、中小企業と大企業が公正に取引できるようにするルールを、独占禁止法の強化などによって確立することなどです。

 最低賃金の引き上げは、個別企業の労使交渉で決める民間の賃金引き上げと違って政治が責任と役割を担っている分野です。中小企業にとっては費用の増加となりますが、まともな賃金が保証されるなら、労働者は定着し、労働の「質」を高め、生産性も上昇します。

内需、企業にもプラス

 アメリカでは最低賃金を大幅に引き上げた2007年に、1000社の経営者らが「最賃引き上げは、ビジネスも地域経済にも利益になる」との声明を出し支持しました。最低賃金引き上げは内需拡大にも企業の経営にもプラスに働きます。政府は最低賃金の引き上げと、そのための中小企業支援を、有効な経済対策として実行に踏み出すべきです。


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