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2013年2月6日(水)

財政演説に対する

佐々木議員の代表質問

衆院本会議

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 5日の衆院本会議で、日本共産党の佐々木憲昭議員が行った財政演説に対する代表質問(全文)は以下の通りです。


 私は、日本共産党を代表し、財政演説に対して質問します。

 安倍総理は、所信表明で「経済の再生」を「最大かつ喫緊の課題」と位置づけました。それを達成するため、2%の物価上昇目標の実現を日銀に迫り、大企業に対して手厚い財政支援をおこない、公共事業を大規模に展開しようとしております。

 「アベノミクス」などと持ち上げる議論もありますが、それで本当に暮らしが良くなるのか、国民のなかに不安が広がっております。

 具体的にお聞きいたします。

雇用破壊と負担増が家計消費を落ち込ませた

 第一は、「デフレ」についてです。安倍総理は「デフレからの脱却」を掲げていますが、「デフレ」とは何でしょう。政府は「消費者物価が連続して下がること」と定義していますが、なぜ物価が下がり続けたのでしょうか。

 最大の要因は、内需の落ち込み、とりわけGDP(国内総生産)の6割を占める家計消費が落ち込んだことにあります。総理は、どのように認識しているのでしょうか。

 なぜそうなったのか。ひとつは、賃金が大幅に低下したからです。この10年間で雇用者所得は22兆円も減りました。

 政府が、労働法制の規制緩和で非正規雇用を増やしたこと、多国籍企業・大企業の海外進出で産業の空洞化をもたらしたことが、全体として失業、雇用不安、低賃金を広げたのであります。

 他方で、資本金10億円以上の大企業には、260兆円もの内部留保がため込まれました。このゆがみこそ正すべきではありませんか。

 それだけではありません。社会保障の連続改悪が、国民の所得を奪いました。小泉・安倍内閣の7年間で国民負担を13兆円も増やしたのであります。総理に、その認識はありますか。

 そのうえ、昨年の民自公「3党合意」による「税・社会保障一体改革」によって、今後、消費税の大増税、医療、年金、介護などで、あわせて20兆円もの国民負担を増やそうとしているのであります。

 国家公務員給与の大幅引き下げが、地方公務員ばかりか民間企業の賃下げのテコとなり、さらに生活保護までカットしようとしています。

 こうなれば、可処分所得を落ち込ませ、デフレ不況をいっそう加速させることになるのは明らかではありませんか。

 総理は、このデフレをつくった自らの責任を自覚し、これまでの政策を根本的に改めるべきであります。答弁を求めます。

日銀に責任おしつけインフレあおるのは本末転倒

 第二は、「インフレターゲット」についてです。

 安倍総理は、経済財政諮問会議で「2%という目標に向けて、大胆な金融緩和を日銀は責任を持ってやってください」と強い調子で求め、諮問会議で毎回チェックするなどと言っているようでありますが、デフレ脱却の責任を日銀に押しつけ、インフレをあおるのは本末転倒ではありませんか。

 インフレーションとは、通貨価値の下落にともなう名目的物価上昇であります。国民の所得を奪ったままで、インフレが進めばどうなるでしょうか。

 日銀の「生活意識に関するアンケート調査」によると、8割の国民が物価が上がることに否定的であります。雇用や賃金の改善なしに物価だけが上がることに不安を覚えるからです。総理は、この声をどう受け止めますか。

 インフレターゲットは「どの国でもやっている」と言いますが、まったく違います。他の国では激しいインフレを抑えるために「物価安定目標」を定めたことはあっても、デフレ脱却のために「インフレターゲット」を掲げた国は、ひとつもないのではありませんか。財務大臣の答弁を求めます。

内部留保を労働者と下請け企業に還元させよ

 第三は、財政出動との関係です。

 安倍総理は、財源がないなら「輪転機を回して日銀券を印刷すればよい」と発言しましたが、とんでもないことであります。

 公共事業の拡大で増発した大量の建設国債を、今後、日銀に直接引き受けさせるつもりでしょうか。

 歴史を振り返れば、戦争中、政府が日銀を支配下に置いて、軍備調達の資金を無制限に供給させた深刻な前例があります。その結果、激しいインフレを引き起こし、国民生活をどん底に突き落としました。その轍(てつ)を踏んではなりません。

 安倍内閣は、補正予算と来年度予算を合わせ「15カ月予算」と位置づけており、補正予算での国債の追加発行額は5・2兆円にのぼります。年度途中における国債の追加発行は3年ぶりであり、今年度の新規国債発行額は、実に50兆円を上回ることになります。

 その規模は、大企業向けの「成長力強化」策や大型公共事業によって膨らんでおります。補正予算に自衛隊の正面装備として605億円を盛り込んだことも異様であります。

 その一方、来年度予算では「財政規律」を重視するという口実で、社会保障のいっそうの削減をすすめようとしているのではありませんか。誰のための、何のための15カ月予算なのでしょうか。

 デフレからの脱却というなら、庶民の懐をあたためる政策に転換しなければなりません。家計消費が増えれば、内需が拡大しデフレ克服への道も開かれるのであります。

 いま必要なのは、消費税増税の中止など国民の所得を奪うあらゆる政策をただちにとりやめること、財界・大企業の身勝手なリストラ・賃下げを許さず、内部留保を労働者、下請け企業に還元し、不当なため込みを許さない政治を実現することであります。

 日本共産党は、そのために全力をあげることを表明し、質問を終わります。


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