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2013年2月4日(月)

全過程可視化 えん罪防ぐ

法制審大詰め

捜査側委員は否定する動き

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 取り調べの「可視化」をめぐる法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」(法相の諮問機関)の議論が大詰めを迎えています。最大の焦点は、えん罪を防ぎ、捜査の適正化と能力向上のため、取り調べの一部始終を録音・録画する全過程の「可視化」をどう実現するかです。(竹腰将弘)


グラフ:録音・録画の有効性アンケート

 同部会では、研究者や法律実務家、一般識者26人が、2011年6月以来19回の会議を重ねてきました。

 これに先立ち、大阪地検特捜部の証拠改ざん、隠ぺい事件で法務省内に置かれた「検察の在り方検討会議」は、「被疑者の人権を保障し、虚偽の自白によるえん罪を防止する観点から、取り調べの可視化を積極的に拡大するべきである」と提言(11年3月)。これを受けた法相の法制審への諮問は「取調べ状況を録音・録画の方法により記録する制度の導入」への意見を求めるというものでした。

 「可視化」の制度化を大前提に、その実効性をどう高めるかを議論することが、同部会設置の“出発点”だったのです。

巻き返し

 ところが、部会の議論では、捜査側の委員を中心に、「捜査の機能が損なわれる」と可視化を否定する巻き返しの主張が出されました。第5回会議(11年11月29日)のヒアリングに登場した最高検の検事は、「全面可視化は凶悪犯罪者や組織の背景にいる真の犯罪者を野放しにする危険性がある」と言い切りました。

 こうした議論にたいし、第9回会議(12年4月17日)では、「愛媛県警マニュアル」(別項)を示して、現在の取り調べの野蛮な実態が告発されました。元日本弁護士連合会会長の宮ア誠委員は「可視化になればこういう捜査は確かにできなくなる。…それは捜査技術、あるいは研修等によって乗り越えなければならない課題だ」と指摘。映画監督の周防正行委員は「取り調べの可視化を自分たちの新しい捜査手法だと思って、これを活用するという積極的な姿勢で取り調べられている方はいるのか」と、捜査機関の努力を促しました。

 一般の捜査官の受け止めはどうでしょうか。

 全国の警察で昨年4月から9月に試行した「可視化」の取り調べを経験した取調官1116人へのアンケート調査によると、録音・録画の有効性について「大きな効果がある」24・3%、「ある程度の効果がある」67・2%と、9割を大きく超える取調官が有効性を認めています。(グラフ参照)

対象拡大

 ところが、取調官の「裁量権」で、「可視化」の範囲をせばめ、部分的な録音・録画にとどめようというのが検察、警察の主張です。ある委員は「目的は『可視化』の実現なのに、取り調べる側の『裁量』では、目的を達成できるはずがない」と語っています。

 部会で了承された「基本構想」は、「可視化」の対象とする事件の範囲を、当初の「裁判員裁判対象事件」からさらに広げる検討を行うとし、逮捕前の被疑者や目撃証人など参考人聴取の「可視化」も検討するとしました。今後、分科会に分かれて行う議論で、全過程「可視化」にどこまで近づけるかが課題です。

 また、「可視化」の法制化と引き換えに捜査側が持ち出した司法取引の導入や通信傍受の拡大については、人権に配慮する立場から慎重な検討が求められます。


 取り調べの「可視化」 検察や警察が密室で行っている取り調べを録音・録画することで、第三者が客観的に検証できる「見える」ものにすること。足利、布川などの重大えん罪事件、大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠ぺい事件などで、強引に虚偽の自白を迫る取り調べが、えん罪の温床となっていることが明らかになり、可視化を求める世論が高まっています。


愛媛県警マニュアル

●粘りと執念を持って「絶対に落とす」という気迫が必要

●調べ室に入ったら自供させるまで出るな

・被疑者のいうことが正しいのではないかという疑問を持ったり、調べが行き詰まると逃げたくなるが、その時に調べ室から出たら負けである

●被疑者はできる限り調べ室に出せ

・自供しないからと言って、留置場から出さなかったらよけい話さない

・否認被疑者は朝から晩まで調べ室に出して調べよ。(被疑者を弱らせる意味もある)

 ※2006年に愛媛県警から流出した「被疑者取調べ要領(適正捜査専科生)」(2001年10月4日付)。警察庁は警察学校の講義用に作られた文書と認めています。


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