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2013年1月29日(火)

安倍政権の致命的弱点に切り込み、政治の根本的転換を迫る論戦を

日本共産党国会議員団総会 志位委員長のあいさつ

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 日本共産党の志位和夫委員長が28日、国会議員団総会で行ったあいさつは以下の通りです。


写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=28日、衆院第1議員会館

 通常国会の開会にあたりまして、ごあいさつをいたします。

 この国会は、昨年末に発足した第2次安倍自公政権との初めての本格的論戦の舞台となります。安倍政権にどう立ち向かうか。日本共産党の基本姿勢について述べておきたいと思います。

 総選挙の結果、衆議院で3分の2を超える議席を持つ巨大与党が出現し、暮らしと平和を踏みつぶす暴走を開始していることは、日本の前途にとって大変に危険な動きであることはいうまでもありません。

 同時に、安倍政権は致命的な弱点をもっています。そこをよくとらえて、国会論戦で正面から切り込み、政治の根本的転換を迫っていきたいと考えています。“三つの致命的弱点”ということを話したいと思います。

第1の弱点

直面する政治・経済・外交の危機を打開する解決策を何一つ持ち合わせていない

 第一は、安倍政権が、今日の日本が直面する政治、経済、外交の危機を打開する解決策を何一つ持ち合わせていないということです。

 たとえば、深刻なデフレ不況からどう抜け出すか。政府の「緊急経済対策」を読んで驚くのは、なぜ日本経済が深刻なデフレ不況に陥ったか、その原因の分析がまったくないことです。原因の分析がありませんから、まともな処方箋を何一つ打ち出すことができない。そういう内容となっています。

 安倍政権は、自らの経済政策を「アベノミクス」だとか「三本の矢」だとかいって仰々しく宣伝していますが、新しい中身はまったくありません。無制限の金融緩和、大型公共事業のばらまき、大企業応援の「成長戦略」――すべて過去の自民党政権が行い、破綻が証明ずみのものばかりです。新春のNHKの党首インタビューでこの問題を問われまして、「『三本の矢』というが、どれも破綻が証明ずみの“折れた矢”を三つ並べただけではないか」と答えました。“折れた矢”を三つ並べても、「強い経済」をつくることなどはできないことを、はっきり申し上げておきたいと思います。(拍手)

 長期にわたって働く人の所得が減り続けていることにこそ、デフレ不況の最大の原因があります。そして、働く人の所得を増やす政治に転換することにこそ、デフレ不況から抜け出す最大のカギがあります。それ抜きに金融緩和や公共事業のばらまきをやっても、経済はよくならない、そのことは国民生活と日本経済の実態をありのままに見る人ならば、だれも否定できないことであります。

 最近、印象深く読んだものとして、『エコノミスト』誌の1月15日号で編集長の横田恵美さんがこういうことをいっております。

 「安倍首相のデフレ脱却策を聞いていると、この人は国民の家計や雇用にどれだけ関心があるのだろうか、と気になる。インフレ期待の醸成というが多くの国民の期待は賃金の上昇だ」「デフレが深刻化したのは、企業が内部留保や株主配当に偏重し、人件費を圧縮したからだ。この認識なくして、金融緩和や公共事業で大盤振る舞いをしても、お金は回らない」

 これは、経済をまともに見る人だったら常識的な見方ではないでしょうか。そして、私たちが示している打開策とも、まさに一致している見方がここにあるわけです。

 これは一例ですが、この内閣は、これだけ日本の政治が行き詰まっているにもかかわらず、どの問題でも打開策を示すことができない。ここにこそ最大の致命的な弱点があるわけです。この内閣に対して、日本共産党は国民の立場に立って危機打開の抜本的対策を示して、堂々とたたかいぬきたい、この決意を申し上げたいと思います。(拍手)

第2の弱点

今日のあらゆる危機をつくりだした張本人が「危機突破」とは

 第二の致命的弱点は、安倍政権は、「危機突破内閣」などといいますが、そもそも自民党は、今日のあらゆる危機をつくり出した張本人ではないかということであります。ここをただす論戦をやっていきたいと思います。

 たとえば、だれが日本をこんな賃下げ社会にしてしまったのか。労働法制の規制緩和を進め、派遣やパートなど非正規雇用を拡大してきたことが賃下げ社会をつくり出したことは、だれの目にも明らかですが、財界いいなりにこの路線を進めたのは、歴代自民党政権の責任ではありませんか。

 さらに、福島原発事故を防ぐことができなかったのは、いったいだれの責任か。日本共産党のたびたびの具体的な警告にもかかわらず、「安全神話」にどっぷりつかり、またそれをふりまいて、やみくもな原発推進政策を進め、大事故を引き起こしてしまったのも、第1次安倍政権を含む歴代自民党政権の責任ではありませんか。

 今日、日本が直面するあらゆる危機は、60年あまりの自民党型政治によってつくりだされたものであります。これは決して、自然現象ではなく、自民党政治が引き起こした政治災害なのであります。私たちは、これからの国会論戦で、その重大な責任をあらためて一つひとつ明らかにし、それへの厳しい反省と転換を迫っていく決意であります。あらゆる危機をつくり出してきた自らの政治へのひとかけらの反省もなしに、「危機突破内閣」とは笑止千万といわなければなりません。(拍手)

 そのことを、論戦を通じて厳しく追及していこうではありませんか。(拍手)

第3の弱点

増税・改憲・TPP・米軍基地――すべてが国民多数の意思に背くもの

 第三の致命的弱点は、安倍政権が進めようとしていることは、そのすべてが国民多数の意思に背く――民意に背くものだということです。

 昨年12月の特別国会の召集の際の議員団総会のあいさつで述べたように、もともと総選挙で国民が下した審判は「民主党政権ノー」であって、自民党の政策に信任状を与えたわけでは決してありません。

 実際、総選挙後のさまざまな世論調査を見ても、安倍内閣が進めようとしている消費税増税に対して、毎日新聞の調査では、国民の52%が反対と答えております。憲法9条改定に対しては、毎日新聞では国民の52%、朝日新聞では53%が反対と答えています。増税でも改憲でも、国民多数がこれに反対という意思を示しているわけであります。

 原発問題ではどうか。「国民の過半数が原発ゼロを望んでいる」というのは、国民的議論の到達点を踏まえて政府が出した結論でした。自民党政権に代わったら、この国民的議論の到達点が変わるなどということがありえるでしょうか。これはありえないわけであります。ですから、いま安倍内閣が進めようとしているあからさまな原発推進政策――再稼働の推進、新増設の容認、原発輸出の推進などは、「原発をなくせ」という国民世論に真っ向から逆らうものにほかならないということも述べておきたいと思います。

 さらに、TPP推進、米軍沖縄普天間基地の「辺野古移設」、オスプレイ配備の強行など、アメリカ追従政治が、民意に背くものであることは、当選した160人を超える自民党公認議員が「TPP反対」を公約に掲げ、沖縄で当選した4人の自民党公認議員が、全員「県外移設」を公約に掲げたことにも示されているではないですか。

 安倍自公政権は、国会内では多数かもしれませんが、その進めようとしていることは、国民のなかではどれも少数派であります。みなさん、ここに確信をもって、国民運動との共同を広げに広げ、国民の利益に背く暴走を阻止し、新しい政治への道を開く国会にしていこうではありませんか。(拍手)

政治の表層では逆流が多数を占めても、深部では矛盾が累積――ここを大局的にとらえて

 安倍自公政権の“三つの致命的弱点”ということをのべましたが、その根底にあるものは何か。「アメリカいいなり」「財界中心」という二つのゆがみをもった自民党型政治が、いよいよ立ち行かなくなり、崩壊的危機に立ち至っているという大問題が、その根底に横たわっています。

 政治の表層では、いろいろなことが起こります。逆流が国会で多数を占めることも起こります。しかし、そういうことがあっても、その深部では、自民党型政治の二つのゆがみの矛盾が累積し、日本が新しい政治への大変革が求められる時代に立ち至っていることは明瞭だと考えます。ここをしっかりと大局的につかみ、「世の中は法則にそくして必ず変わる」という綱領的確信を揺るがずに堅持して奮闘することが、いま何よりも大事だということを、私は強調したいと思います。

歴史を偽造する動きの具体化は絶対に許さない

 それにくわえて、安倍政権は、過去の日本の侵略戦争や植民地支配を肯定し、歴史を偽造しようという逆流――「靖国」派が、その中枢を占めているという重大な問題をかかえています。私は、警告したい。かりに、彼らのこれまでの言動が、内閣の方針として具体化されるならば、日本はアジアと世界で生きていく政治的・道義的地位を失うことになります。

 わが党は、歴史を偽造する動きの具体化を絶対に許さないという立場で、論陣を張っていく決意をここに表明したいと思います(拍手)。そして、それは侵略戦争と植民地支配に命がけで反対を貫いた日本共産党の重大な責任だということを強調したいと思います。

“三つの国民的役割”を発揮し、参院選・都議選勝利に道を開く国会に

 私は「党旗びらき」のあいさつで、日本共産党が、新しい年に、「暮らし・平和・民主主義を破壊する逆流に立ちはだかる『防波堤の党』」、「新しい政治を求める国民の模索と探求にこたえる『変革者の党』」、そして「各分野の国民運動をさらに発展させる『国民共同をすすめる党』」――この“三つの国民的役割”を発揮して奮闘することをよびかけました。その真価が問われる最初の大舞台が今度の通常国会です。

 この国会で、衆参の議員団が、秘書団・事務局のみなさんとしっかり力をあわせ、“三つの国民的役割”を発揮する先頭にたった論戦に取り組もうではありませんか。「日本共産党ここにあり」と多くの国民のみなさんに評価していただけるような奮闘を行い、そして、参議院選挙勝利への道を開く国会にしていこうではありませんか。

 参議院選挙では5人の比例候補の全員当選を絶対にやり抜こうではありませんか。そして選挙区でも、わが党は、すべての選挙区で候補者を擁立して頑張りますが、その勝利のために力をつくそうではありませんか。参議院選挙・都議選の勝利へと道を開く国会にするためにお互いに力を尽くすことに誓い合って、開会にあたってのあいさつといたします。ともに頑張りましょう。(拍手)


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