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2013年1月17日(木)

福島第1原発事故の前線拠点 Jビレッジ

違法 無許可の給油作業

広域消防本部が事情聴取

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 東京電力福島第1原子力発電所で、「安全神話」を背景に世界の原発史上最悪の「レベル7」という過酷事故を起こした東電。事故収束・廃炉に向けた緊急作業の前線拠点、Jビレッジ(福島県双葉郡楢葉町・広野町)では、原発構内で使用する建設重機の燃料(軽油)の給油をめぐって消防法違反の違法操業をしている実態が16日、本紙の取材で明らかになりました。


写真

(写真)福島県内で購入してきた軽油を、東電第1原発事故収束作業の重機に供給するタンクローリーに移し替えている違法作業の現場=9日、福島県楢葉町のJビレッジ

「火気厳禁」の表示もなし

 同地域を管轄する福島県双葉地方広域市町村圏組合消防本部は15日、本紙の取材に「消防法上、Jビレッジでの取り扱いはできない」と回答。同本部は16日、東電の担当者から事情聴取し、「(タンクローリー間での詰め替えが)常態化しているのかなど消防本部として確認をしたい」としています。

 違法操業が明らかになったのは、第1原発構内で稼働させている建設用重機への燃料(軽油)を供給する自家用給油所。Jビレッジ本館近くで、原発構内に出入りする車両の放射能測定場所に隣接した汚染区域の一角にあり、タンクローリーが数台駐車できる広さです。

 福島県内で購入、タンクローリーで移送してきた燃料(軽油)を、原発構内から来ている空のタンクローリーに直接、移し替えています。

 燃料などの危険物を取り扱う場合、消防法で市町村長の許可が必要。施設は政令で定める技術上の基準に従った設備などを義務付けています。貯蔵や給油中の燃料もれやあふれ出た燃料の飛散による火災などの災害を未然に防止するための集水口、こう配をつけた床面で、比重の差を利用した油と水を分離する安全装置などです。

 東電の給油所にはこうした装置はなく、「火気厳禁」「危険物取り扱い所」の表示もありません。同消防本部は「一般取扱所の許可申請はされていない。消防法に従えば(Jビレッジでは)タンクローリーからタンクローリーへの軽油の移し替えはできない」としています。

 東電広報部は、「双葉広域消防本部と当社が、どのようなやりとりをしているかについて、明日あらためて確認のうえ、回答させていただきたい」としています。

解説

東電 安全軽視変わらず

 「福島の再生に責任を果たしたい」。4日、Jビレッジに新設した「東電福島復興本社」の開所式で、石崎芳行同本社代表(東電代表執行副社長)は、こう表明しました。

 しかし、その足元で明らかになったのは事故前と変わらない「安全軽視・利益優先」体質そのものでした。

 消防法は危険物である燃料ごとに取り扱いを厳密に規定しています。軽油は千リットルを超える場合、「一般取扱所」の許可が必要。Jビレッジで取り扱っているタンクローリーの容量は3000リットルから4000リットルでこれに該当します。さらに政令で安全措置が決められています。東電はいずれも対応していません。

 ガソリンスタンドでの火災事故は毎年、全国で数十件あり、昨年11月にはタンクローリーが炎上、全壊する事故が首都圏で置きています。

 Jビレッジには東電や関連企業関係者の車両が常時、数百台規模で駐車しています。火災が発生すれば「大規模な火災となる危険性が高い」(双葉広域消防本部のホームページ)といわれる軽油の性質からこうした車両に引火、大災害に発展する可能性があります。

 タンクローリーを運行させていたのは元請(大手ゼネコン)と下請けです。安全対策を怠り、違法状態を放置してきた東電の責任は重大です。(山本眞直)


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