2013年1月13日(日)
安倍政権 「先祖返り」始動
小泉流「痛み伴う」改革へ 侵略・植民地謝罪の見直し
諮問会議次々
安倍政権になって、これまで休眠状態だった会議や活動が次々に復活しています。小泉純一郎首相時代、「構造改革」の司令塔となった経済財政諮問会議は3年半ぶりに再起動。教育再生実行会議や外交・安全保障問題を検討するための「有識者」会議も次々と再開させ、「安倍カラー」を強めています。
経済・財政
「今回の経済財政諮問会議では、痛みを伴う改革は打ち出すのか」。9日の記者会見で、こう聞かれた甘利明・経済再生担当相は「もちろんです」と胸を張りました。
甘利氏は「社会保障のシステムについても効率的に行われているかどうか議論をいただく」と強調。今も多くの国民を苦しめる小泉流「構造改革」への“先祖返り”を果たそうとしています。
諮問会議には、財界の意向を反映する民間議員として東芝の佐々木則夫社長らが参加。佐々木氏は、一貫して原子力畑を歩いてきた人物です。同氏は「再生可能エネルギーが即、原発の代替になるかというと基本的に難しい」(「日経ビジネス」2011年8月29日号)と福島原発事故にも無反省。国民世論を無視して財界いいなりの経済政策を押し付ける意図が露骨に示されています。
一方、諮問会議とあわせて司令塔の役割を果たす日本経済再生本部も発足。その実動部隊となる産業競争力会議メンバーに、小泉内閣の閣僚を務めた竹中平蔵・慶応大学教授が選ばれました。
竹中氏は「構造改革を行うにあたって重要なのは競争政策だ」「TPP(環太平洋連携協定)なしに構造改革などありえない」(「毎日」9日付)と述べ、新自由政策をいっそうおし進める構えを見せています。
毎年2200億円の社会保障費削減を断行し、労働法制改悪で貧困と格差を生み出した小泉「構造改革」の再来が早くも予想されます。
安保・外交
一方、教育、安保・外交をめぐっては、軍国主義・国家主義に“先祖返り”していく危険な動きもあります。
侵略と植民地支配に対する日本政府の謝罪を見直す考えを示唆し、そのための「有識者」会議の設置も検討。第1次安倍内閣のときに設置され、集団的自衛権の行使は認められないとする憲法解釈の変更を求めた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の再開も検討します。
一方、大統領が外交・軍事政策の決定で強大な権限を持つ米国をモデルにした、日本型「戦争国家」の司令塔となる「国家安全保障会議」(NSC)創設に向けた検討もしていく構えです。
日本版NSCを設置するための法案は、第1次安倍政権のときに国会に提出されましたが、与党内からも慎重論があり、その後の福田政権で結局、断念することになっていました。
また、安倍内閣が06年に設置した「教育再生会議」も教育再生実行会議として事実上、復活。メンバーには、「新しい歴史教科書をつくる会」元会長の八木秀次・高崎経済大教授や作家の曽野綾子氏らが起用されています。統制と競争の強化、侵略戦争美化への危険な布陣です。(佐藤高志)
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