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2012年12月21日(金)

福島第1原発の危険手当

支払い基準が判明

ピンはね問題 東電、本紙に回答

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 東京電力は、福島第1原子力発電所事故の収束・廃炉に向けた作業での特別手当(危険手当)の支払い基準の詳細を20日、明らかにしました。本紙の取材に答えたもの。東電が危険手当の支払い基準の詳細について報道機関に明らかにしたのは初めてです。


写真

(写真)危険手当問題など原発作業員に呼びかけるポスターを張り出す日本共産党の渡辺博之いわき市議=福島県広野町

 危険手当は、福島第1原発構内での作業を対象に現場の放射線線量、防護服などの装備によって1日2万円を、原発作業の経験があり班長などの資格(職位)をもつ作業員には10万円を、それぞれ基準単価に加算しています。

 「線量の高い作業」ではさらに2割程度の割増し措置をとっている、としています。「線量の高い作業」は、原子炉建屋、炉心周辺などでの作業が対象になるとしています。

 危険手当をめぐっては、多重下請け構造のもとで元請けや下請け企業による「ピンはね」で作業員のもとには届かない、との指摘が根強くあります。東電が実施した作業員アンケート(9月)でも危険手当を「受け取った」という作業員は51%しかいません。

 大半は「加算されていない」(32%)、「わからない」(15%)と回答しています。

 原子炉建屋で高い放射線を遮断するための鉛板の運搬作業を行い、1カ月余りで十数ミリシーベルトを被ばくしたという元作業員は「1万1000円の日当以外、一円の危険手当もなかった。東電は支払い基準にそって危険手当不払い問題を是正してほしい」と訴えています。

解説

問われる東電の社会的責任

 東電が、危険手当の基準を明らかにしたのは一歩前進です。現在も連日3000人ほどが危険な収束・廃炉に向けた作業についています。その作業員の大半に危険手当が届いていないという現実に照らせば、東電の責任は重いものがあります。

 東電には5兆円に及ぶ除染・廃炉のための政府支援が投入され、首都圏の膨大な利用者からの電気料金という収入で運営されています。こうした実態からすれば、その資産・資金は半ば国民の「共有財産」です。

 危険手当の原資はまぎれもなく、この「共有財産」でまかなわれており、東電は危険手当の支払い実態を国民の前に明らかにする社会的責任があります。

 東電は、これまで元請けに支払った危険手当の総額について「わからない」としています。これは原発業界では危険手当が元請けや下請け企業の間で「ピンはね」されているという“常識”を温存し、結果として元請けや下請けの「やりたい放題」を容認する態度です。

 福島原発事故による放射線被ばくの除染作業の特殊勤務手当(危険手当)をめぐっては発注者の環境省は、ゼネコンなど元請け企業に作業員への支給内容を確認できる書類の提出を求めている前例があります。東電も同様な対応をとるならば作業員に危険手当を確実に支給できるはずです。(山本眞直)


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