2012年12月18日(火)
エジプト 新憲法草案国民投票
やり直しを求める
反対派・人権団体 「不正」を告発
【カイロ=小泉大介】エジプト新憲法草案の賛否を問う国民投票(15日に10県で実施、残る17県は22日)をめぐり、反対派組織や人権団体は16日、相次ぎ「不正」を告発し、投票のやり直しを求めました。
一方、モルシ大統領の出身母体であるイスラム主義組織・ムスリム同胞団は投票の正当性を強調するなど、対立が改めて先鋭化しています。
大統領の強権支配と新憲法草案に反対する統一組織「国民戦線」は声明で、「投票は不正により傷つけられた」とし、寄せられた4000件の告発に対する調査を要求しました。第1回投票で56・5%が憲法草案に賛成したと同胞団が発表したことについても「非公式のものは認めない」と批判しました。
エジプトの主要な人権団体は16日、共同で記者会見し、カイロ人権研究所のハッサン所長は「今回の国民投票は革命後に実施されたにもかかわらず、ムバラク前大統領時代のようなものだった」と強調。不正の実例として、偽の裁判官による投票監視、投票所に入場許可された賛成派運動員による投票誘導、投票開始と終了時間の意図的な変更など、さまざまなケースを指摘しました。
今回の国民投票では、職能団体「裁判官クラブ」が大統領の権力集中への抗議から投票監視活動を拒否しており、それが不正横行の大きな要因となったとみられます。
不正告発に対しムスリム同胞団は16日の声明で、投票監視に問題はなかったと強調するとともに、「国民投票はエジプトが民主国家となったことを証明した。国民は自らの意思を実現した」などと称賛しました。