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2012年10月28日(日)

復興予算 大企業にばらまき

野村総研が選考・配分

立地補助金3千億円

審査委員非公表/経産省「公正性証明できない」

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 東日本大震災の復興予算を大企業にばらまいた経済産業省所管の「国内立地推進事業費補助金」(総額約3千億円)をめぐり、補助金の受け手となる企業の選考や補助額を、民間シンクタンク、野村総研(本社・東京都千代田区)が決めていたことが分かりました。同社は大企業を顧客にコンサルティング業務を営んでおり、公正性が問われます。(本田祐典)


 経産省は、「人手不足」などを理由に補助金事務局を民間から公募。応じた2社のうち、企画提案の内容が優れていたとする野村総研への委託を決めました。

 補助金事務局の役割は、▽申請の受け付け▽対象となる企業の選考▽補助額の決定▽補助を受けた事業の執行状況の確認―と全般的です。

 別の社団法人が担う基金管理を除いて、ほぼすべての業務を経産省は野村総研に丸投げしました。

 経産省は、「野村総研が決めた補助金の対象企業や補助額をすべて認めた。こちらでは、申請書類に虚偽や誤記がないかだけチェックした」(経済産業政策課の担当者)といいます。

 対象企業やその補助額の決定について、野村総研は事務局内に設置した有識者などによる審査委員会がおこなったとしています。

 委員は26人。野村総研が選任し、その名簿は非公表です。経産省は、委員の属性を大学教授15人、研究機関の研究員9人、会計士1人、公的金融機関1人と示すだけで、名前や詳細な肩書を明らかにしません。

 経産省によると、事務局の委託後、野村総研から「委員は非公表にする。名前を公開すると委員を引き受けてもらえない」と申し出があったといいます。

 選考で企業の優先順位を決めた評価基準(9項目)も、野村総研がつくりました。

 評価基準には、「円高等を背景に海外流出の懸念があるか」(海外流出懸念)や、「他企業と競争するうえで十分な規模となっているか」(競争力・非代替性)など大企業に有利な項目が並びます。

 一方で、大震災による被災や損害の有無といった項目がなく、被災企業を優先する配慮はありません。

 経産省は企業選考の公正性について「国民に説明しろと言われれば、悩ましいところだ。委員を非公表にした以上は、公正性を証明する手段はない」(担当者)とします。

 野村総研は審査委員について「大半は大学教授」と文書で回答。「委員には選定企業と利害関係のある企業代表者等は含まれない。委員と野村総研の間に利害関係はない」としています。


 国内立地推進事業費補助金 経産省が2011年度3次補正予算で2950億円を計上。工場建設など設備投資に最大150億円を補助します。交付先510件のうち、大震災の被害がとくに甚大だった岩手、宮城、福島3県は31件とわずか約6%。総額の2割が中小企業で、8割がトヨタ、キヤノン、東芝、京セラなどの大企業に配られることが日本共産党の国会質問などで明らかになっています。

図:復興予算を大企業が分け取りした仕組み

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