2012年9月16日(日)

原発いらない　全国だれでも

官邸前行動に呼応

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官邸前行動とは

首都圏反原発連合に聞く

ミサオ・レッドウルフさん

（写真）ミサオさん＝14日夜、首相官邸前

　全国に行動が広がったというのは、予想外の展開でした。すごく喜ばしいことだと思います。

　私たちにはお金も、権力も、何もない。人の数での積み重ねしかありません。数で圧力をかけたい。そんな思いで、誰もが参加しやすい行動になるよう心がけてきました。

　原発事故後に「原発がいやだ」と考えて行動を起こした人の多くは、社会的な運動に参加したことのない人たちでした。その大多数の人たちの声をくみあげる場所としては「シングルイシュー」（ひとつの課題）というのは大切なやり方だったと思っています。「シングルイシュー」として行動する上で、原発問題に関係のないのぼりやプラカードは遠慮してもらいました。

　スピーチでも団体同士の連帯あいさつということではなく、自分の思いを官邸にいる中の人にぶつける！ということをお願いしました。こうした多くの声が集まることで、野田首相との面会も実現しました。国民の声を無視できなくなったのだと思います。

　いまは抗議の場所が霞が関全体に広がって、スピーチの場所がいくつもあります。私は、そこを１周して、参加している人たちの思いを直接、感じていきたいと思っています。現場に立つことの大切さを忘れずに、今後も行動を起こしていきたいですね。

小泉　兵義さん

　国会周辺で、数万人が集まれる場所をつくったのは大きいですね。金曜日の夜に国会周辺に行ったら誰かしらいる、というような。これからもそれは続けていかなければいけないと思います。

　1000人くらいが集まり始めたころでしょうか。途中で帰る人から「私も参加人数に入れてください。頭数になりにきたんです」と声をかけられました。一人ひとりは小さいけれど、これだけの人数になることで抗議の思いを打ち出していくんだ、と来てくれたんですよね。

　これまで日本の歴史ではなかったことが起きていると思います。それを今後の運動の力に結びつけていきたいですね。

黙っていては変わらない

Ｔｗｉｔ　Ｎｏ　Ｎｕｋｅｓ大阪　Ｆｕｓａｅさん

　毎週金曜夜、関西電力大阪本店前で取り組まれている「原発なくせ」の行動は今年４月に始まり６月中旬以降、２０００人規模に広がっています。「Ｔｗｉｔ　Ｎｏ　Ｎｕｋｅｓ大阪」メンバーのＦｕｓａｅさんは行動当初から参加。１４日夜、子ども連れや女性、多くの市民の先頭に立って「原発反対」を叫びました。

　東京の官邸前行動を知り、仲間と始めた行動に共感が広がっています。「感じたままに素直に行動すればいい。遊び仲間に『うちらも声をあげなあかんのちゃう』と声をかけて広げています」

　東京在住の両親は、退職後の生活の拠点にと福島県いわき市に家を建てていたためＦｕｓａｅさんには原発事故は切実でした。「福島で被ばくし避難した人、残った人も、関西にいて子どものいない私だってみんな傷ついている。この傷をなかったことにして生きることはできない」と感じました。

　原発事故前は政治に関心はありませんでしたが、関東から避難してきた人と出会い、力になりたいと思いました。国会議員に原発政策のアンケートをとり結果を配りました。「原発とめたい、放射能汚染とめたい。でも何が有効なのか分からずとにかくやるしかなかった。黙っていては変わらないですから」

　Ｆｕｓａｅさんはジュエリークラフト「ＦＡＴＥ」（フェイト）を開き彫金を生業にしているアーティストです。ＦＡＴＥは、めぐりあわせを意味します。「その人の背景を具象化していくこと」をモットーにデザインしています。オリジナルのカレーを出す日曜限定の店「Ｃａｆｅ　ＦＡＴＥ」では、イチジクや麻の実、昆布を使ったメニューが好評です。今では「原発ゼロ」へ行動する人のつながる場所になりました。

　「生きるうえで大切なのは愛と勇気です。私も行動を起こすのは初めてのことばかりでガタガタふるえました。多くの人が一歩でも半歩でも動けば日本にすごい変化がおきると思います」