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2012年9月7日(金)

関電データでもはっきり

原発再稼働しなくても猛暑は乗り切れた

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 原子力発電所の再稼働がなければ、電力不足に陥るとして大飯原発3、4号機の再稼働を強行したのが野田佳彦首相と関西電力でした。ところが関電が発表した今夏の電力需給データは、原発の再稼働がなかった場合でも、ピーク時の供給電力に余力があったことを示していました。(柳沢哲哉)


81万キロワットの“余力”

中・西日本全体で融通なら754万

 この夏、関電管内の最大需要は、8月3日の2682万キロワットでした。関電発表データによると、同日のピーク時の供給電力2999万キロワットでした。大飯原発の電力供給は、236万キロワットです。ピーク時供給電力から大飯原発の電力供給を除くと2763万キロワットになります。最大需要2682万キロワットに対し、81万キロワットの余力があったことが分かります。

 原発再稼働がない場合には、原発の余力電力を利用して発電する揚水発電の供給力が減少します。関電の場合、揚水発電は、47万キロワット減少します。一方、関電は火力発電を停止させていました。この火力発電を起動させることによる供給力の増加分は38万キロワットです。差し引いても、72万キロワットの余力がありました。

 また、関電が電力融通を受けることができる中・西日本の電力会社全体は、この日、大飯原発再稼働がなかった場合でも、754万キロワットの余力がありました。他電力会社からの融通は十分に可能でした。

 実際、関電は、電力需要が高まる夏季には、中国電力、四国電力から電力の融通を受けることを前提に電力供給を調整しています。送電ロスも少なく、無理なく電力融通を行うことは可能です。

危険ライン切らず

大口特約使えばさらに弾力

 大飯原発の再稼働がなかった場合、「非常に厳しい状況」になっており、「大飯発電所3、4号機の再稼働は必要不可欠であった」と、関電は説明しています。

 瞬間的な電力の需要変動にも対応できるためには、供給が需要をある程度上回っていなければなりません。供給が需要を上回る割合を予備率といい、関電が言う「厳しい状況」とは、予備率が3%以下になることです。

 この夏の81万キロワットの余力は、予備率でいえば3・02%でした。たとえ予備率3%を下回る状況であっても、ただちに計画停電などが必要になる水準ではありません。この水準はあくまで、政府が警報を出し、電力会社が電力使用を抑制する手段を講じる段階です。あくまで黄色信号が出ている、危険ラインを切っていない状況です。

 関電は、随時調整契約を大口需要家と結んでいます。この契約は、電気料金を割り引く代わりに、電力需給が逼迫(ひっぱく)したときは電気の使用制限を要請できる契約のことです。強制的、もしくは通告で需要を抑制する瞬時調整特約として24件、通告により、大幅な需要抑制を行う通告調整特約として150件の契約を利用者と結んでいます。

 この特約を使うことで、電力需給逼迫時に、瞬時調整特約で約36万キロワット、通告調整特約で約7万キロワットの合計43万キロワットの需要減を見込むことができます。

 また関電は、計画停電を避けるため、こうした需要を抑制する取り組みに加え、「他の電力会社や新電力からの電力購入、ネガワット取引などで供給力を高める取組みを行う」ことも可能としています。

大飯原発は停止を

計画停電回避は可能だった

 計画停電の実施が発表されるのは、供給予備率が1%程度を下回る見通しとなった場合です。この夏の猛暑でも、予備率が1%以下に落ち込んだことは、一日たりともありませんでした。

 しかも、予備率が3%を下回りそうだと分かった段階で、需給調整の努力をして計画停電を回避することは可能です。

 電力が足りなくなりそうになった段階で可能なあらゆる手段を用い、電力を供給する責任が地域独占を認められた電力会社にはあります。

 関電は、あらゆる手段をつくすことなく、大飯原発を再稼働しました。安全対策もあいまいなまま危険な原発を再稼働し、原発なしでの電力供給の努力を追求しなかった関電、政府の姿勢が改めて問われます。

 関電は、夏の節電期間が終了する7日以降も大飯原発の運転を継続しようとしています。しかし、「電力不足論」がもはや成り立たなくなった以上、ただちに大飯原発を停止すべきです。

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