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2012年9月4日(火)

志位さんVS.「ザ・ニュースペーパー」

ラジオ番組で大いに語る

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 日本共産党の志位和夫委員長は、2日に放送されたラジオJFN番組「ザ・ニュースペーパーの『PEOPLE〜日曜日の朝刊・世界を笑え!』」に出演し、司会をつとめたコント集団「ザ・ニュースペーパー」のみなさんと、丁々発止のトークをおこないました。その要旨を紹介します。司会は、福本ヒデ、山本天心、土谷ひろし、竹内康明の各氏がつとめました。


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(写真)収録を終えた志位委員長(手前)と(後列左から)山本、土谷、竹内、福本の4氏=8月23日、東京・千代田区のスタジオ(写真は番組提供)

 冒頭、10個の質問に対し志位氏が「はい」か「いいえ」で答えるやりとりがかわされました。「本音をいうと、政治家より音楽家になりたかった?」との問いに「いいえ」と答えた志位氏に「いま、いろんな思いが錯綜(さくそう)したんでしょうね」と合いの手が入るなど、番組はなごやかな雰囲気で始まりました。

 福本 志位さんね、イメージ通りで、僕が「好きだな」と思ったのが、収録が始まる前に「これ、『はい』か『いいえ』で答えないとダメなんだよね」っていって、悩んでらっしゃったところにすごく誠実さ(を感じました)。

 志位 ずいぶん悩んだのもありますよ。

政治家になって感動したことは?

国民のたたかいに胸が熱く

 「政治家になって感動したことがある?」との質問に「はい」と回答した志位氏に、司会の竹内氏がどのような感動だったのかを具体的に問いました。

 志位 最近でいいますと「派遣切り」がありましたでしょう、「リーマン・ショック」(2008年)のときに。あのとき、若い労働者のみなさんが労働組合を自分でつくって立ち上がった。NHKのニュースでもトップで「ついに労働者が立ち上がりました」と。国民のみなさんがたたかいに立ち上がったときは本当に心が熱くなります。いま、官邸前(抗議行動)をやっているでしょう。私も、だいたい毎週出ていますけど、みなさんの熱気、声を上げ続けようというパワーに胸が熱くなりますね。

 福本 なるほどですね。たしかに官邸前の(行動は)われわれもびっくりしましたもんね。僕なんて物心ついてから見たのは、本当に初めてくらい。

 志位 やっぱりいまの不合理な社会で、矛盾もある、苦しいこともある、でも決してあきらめないで声を上げようというたたかいに、胸が打たれ、熱くなりますね。

 福本 そうですね。「よっ、共産党」とやっぱりいいたくなる。さすがですね。

党名を変えたら支持率が上がる?

ソ連共産党の崩壊を歓迎した

 「党名を変えたら支持率が上がると思う?」と問われた志位氏は「いいえ」と即答。これについて司会の山本氏が「興味がある」と関心を示し、福本氏も「とっつきにくさがある」として、志位氏はつぎのように答えました。

 志位 共産党というと、ソ連の共産党がすぐ思い浮かぶと思いますけど、私たちはソ連のスターリン以降の体制は社会主義でもなんでもないとさんざん大論争やって、ソ連が崩壊したら、“もろ手をあげて歓迎する”という声明まで出したんですよ。(「ほー」の声)

 ですから、あれはまがいものの共産党・社会主義であって、私たちが本当の共産党・社会主義だと思っています。ああいうものが倒れたからといって、(党名を)変える必要はないと(思っています)。

政治家になった以上は総理大臣をめざす?

民主連合政府という志もっている

 続けて、司会の山本氏は「政治家になった以上は総理大臣を目指す?」との問いに志位氏が「はい」と答えたことにふれ、つぎのようなやりとりになりました。

 山本 以前、共産党のキャッチフレーズで「確かな野党」と言っていたじゃないですか。僕、いまひとつ意味が分からなくて、「確かな野党」というのは「野党に自信をもっている」ということですか。

 志位 「確かな野党」と言ったこともありましたが、私たちは与党を目指す立場を持っていますから。「確かな野党」というのは、あやふやな野党も当時あったなかで、キャッチフレーズとして使ったこともありますけど、「志位さん、政権はあきらめちゃったの?」「いつまでも野党にいるつもり?」という意見もありました。ですから、いまは使っていません。

 山本 昔は与党を目指していなかった?

 志位 いや(一同笑い)、昔から(目指していました)。民主連合政府といいまして、アメリカいいなり・財界中心の政治の大本にメスを入れて、大本から政治をかえ、新しい連合政権をつくろうという一貫した政権構想を持っています。そういう志を持っているんですよ。

最近、敵はハッキリしてますか?

消費税増税連合と正面対決

 山本 昔はやっぱり自民党対共産党とかいうのが(あって)、自民党が悪いことをしたら必ず共産党がブレーキ役になってくれるみたいな(感じでした)。僕、そんな共産党が好きだったんです。最近は敵がハッキリしなくなって(いませんか)。

 志位 いや、はっきりしていますよ(「そうですか」の声)。いま国会で、消費税大増税法案が通ったでしょう。通したのは誰かといったら、民主党と自民党と公明党の3党の談合です。いま国会をろう断しているのは、この3党連合です。消費税増税も通す、社会保障も悪くするという方向を3党談合でやろうとしている。それに正面から立ち向かっているのは共産党です。(「ほー」の声)

 この問題では、増税に反対というだけでなく、増税しなかったらどうするのかという対案をまとまって「経済提言」という形で出しました。増税するならば、まず富裕層と大企業に応分の負担を求めるべきじゃないかと。

 福本 それはもう大賛成ですよね。

 志位 大金持ちに払ってもらおうと。

 福本 本当にそうですよね。

 志位 そっち(富裕層と大企業)のほうはずっと減税しっぱなしです。証券優遇税制といって、株でもうけたお金には10%しか税がかからない。汗水たらして働いた人の所得税より軽い。「ぬれ手であわ」で大もうけしたほうが軽いというのはおかしい。富裕層にちゃんとお金を払ってもらう。それから、大企業は260兆円も内部留保でお金をため込んでいるのですから、きちんと社会に還元してもらおうと。

 福本 本当に、みんなが賛成すると思うんですよね。でも、不思議ですよね、みんなが(賛成だと)思っていることが、ぜんぜん伝わらない政治になっている。

 志位 どんな世論調査しても、だいたい5割から6割は消費税増税反対です。「増税をやられたら暮らしが成り立たない」、「商売が立ち行かない」、こういう現実があるから、どんなに政府が旗を振り、野田さんが「命がけ」と言おうとダメなんですよ。

 その声と国会のいまの勢力があまりにかけ離れている、永田町と国民の声が離れている。早く選挙をやって、共産党をうんとのばしてもらって、国民の声がちゃんと反映する国会にしないといけない。

増税反対で他党と一緒に?

悪い政治ストップのため筋通しながら柔軟に

 山本 消費税反対のときに、隣に小沢(一郎)さんがいたじゃないですか。妙な光景だなと思っていたのですが。

 福本 不信任案のときね。小沢さんと志位さんが手を組むことは、初の出来事(ですか)。

 志位 今度の国会で「消費税増税法案に反対という政党は、協力しようじゃないか」と私たちは呼びかけました。

 消費税に対する考え方に違いはあります。たとえば「増税の前にやるべきことがある」というような人たちは、「やるべきことをやったあとの増税はいいですよ」という議論です。私たちのように「絶対ダメ」という議論もあります。

 いろんな消費税に対する考え方の違いがあっても、「今度の国会で増税法案を通すのは反対という一点で共闘しようじゃないか」と呼びかけて、ああいうまとまりをつくったんですね。

 土谷 すごい。やっぱりあの光景は不思議ではあったんですけど、共産党もきちんと他の党とまとまってやれるんだなと、何か変に胸が熱くなる部分があったんです。

 山本 昔、“共産党はのぞく”みたいな言い方をされたじゃないですか。ああいうのを聞くとむかつきます?

 志位 むかつきますね(一同笑い)。今度の7党野党の共同っていうのは、最初、共産党とみんなの党と社民党の3党で呼びかけて、「国民の生活が第一」などの党にもくわわってもらったという経過がありました。国会内では、悪い政治への暴走をストップするうえで、筋を通しながら柔軟に、いろいろな抵抗線を張るというのは、どんどんやっておかないといけない。

印象深い政治家は?

対極にあった小泉元首相と一回だけ意見が一致

 「心から尊敬する政治家はいる?」との質問に、「はい」と答えていた志位氏は、その政治家として宮本顕治元議長、不破哲三前議長の名をあげました。司会の山本氏から、他党で「骨がある」と感じた政治家を問われ、志位氏は故・橋本龍太郎元首相の名をあげ、政治的立場は違ったものの、「正面からの論戦がおもしろかった」と答えました。

 福本 小泉(純一郎)さんは、いま現役を引退されたので、(評価は)どうですか。

 志位 小泉さんは、本当に対極でしたよね。小泉「構造改革」で、弱肉強食の社会にしちゃったわけですから。

 本当に対極にありましたけど、一回だけ意見が一致したことがあるんですよ。2002年の日朝平壌宣言――日朝国交回復にむけて、すべての問題を包括的にテーブルの上にのせて、ひとまとまりにして解決しようということを決めたロードマップです。

 あのとき、党首会談をやりまして、他の野党の党首は非難するんですけど、私は、「この日朝平壌宣言は全面的に歓迎だ」(「ほー」の声)、「この問題については協力をおしまない」と、小泉さんに言ったことがあります。この一点だけは交わって、あとは全部、ドンドンパチパチやってきました。(一同笑い)

天皇の被災地訪問、韓国大統領発言は?

大統領発言は不適切

 山本 (志位さんに)聞きたかったのは、天皇陛下が(被災地の)避難所に行った姿はどういうふうに映っているのかなと(いうことです)。

 志位 私は(天皇が)被災地に行って、被災者と同じ目線にたって語りかける姿をみて、共感するものがありました。(「そうですか」「これは否定ではなくて…」の声)

 福本 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領の天皇陛下に対する発言なんかはどういうふうに(感じますか)。

 志位 あれは、不適切な発言ですね(「ほー」の声)。どこが不適切かというと、李明博大統領は、勘違いしている。日本の(いまの)天皇というのは憲法上、政治的権能を持っていないわけですよ。その天皇に植民地支配の謝罪を求めるということ自体がそもそもおかしいんです。日本の政治制度を理解していないということになる。日本政府に対して、植民地支配の清算を求めるならわかるけど、天皇にそれを求めるのはそもそもスジが違う。

 山本 いやー、なんか共産党も変わってきましたね(一同笑い)。なんかいいですね。

他党と連立する機会は?

日米安保条約への態度が重要に

 福本 いままで日本共産党の歴史のなかで連立がないじゃないですか。これからもそういった機会は(出てきませんか)。

 志位 出てくると思いますよ。いまの永田町の政治勢力のなかで、政権のパートナーになる勢力がいるかとなると、とくに政党のレベルになると、なかなか(ありません)。

 日本の政治で一番の問題は、アメリカとの関係をどうするかなんです。たとえば、オスプレイの配備に(沖縄)県民のみなさんが、あれだけ反対しているのに強行しようとしている。何を盾にやってくるかといえば、日米安保条約です。「日米安保だから仕方ない」とやってくるでしょう。そうすると「安保の是非を問おうじゃないか」ってことにいま本当になってきていますよね。(「なるほどね」の声)

 私たちは、軍事同盟はもうやめて、日米関係は対等・平等の友好条約に切り替えようと言っています。まっとうなアメリカとの関係を築き、本当の独立した日本をつくろう、こういっているのは日本共産党しかない。ここが問われてくるわけですね。

自衛隊をどうするか?

国民合意で段階的に解消めざす

 山本 もし志位さんが総理大臣になったら、防衛省はどうしますか、自衛隊はどうしますか。

 志位 安保条約はなくし、友好条約に変えるという立場ですが、自衛隊はそのときに一挙にはなくせないと思っています。「自衛隊は憲法違反の軍隊だ」という認識は変わりませんけれど、なくしていくには国民の合意で一歩一歩段階的に解消に向かうプロセスがいると考えています。

 民主連合政府がつくられて、安保条約をなくして、独立・平和の日本がつくられ、本当の自主外交をやり、どの国とも対等・平等の友好関係をつくり、東アジアの平和的環境が成熟し、そして国民の圧倒的多数が「もう自衛隊がなくても大丈夫だ」という合意が成立したら(「なるほど」の声)、はじめてそこで解消していく(と考えています)。

 福本 昨年の大震災のときの自衛隊の活躍で、自衛隊を認める方が増えたじゃないですか。あのへんはどうするんですか。違うものをつくるんですか。

 志位 私たちは、こういう整理をしています。民主連合政府をつくったら、自衛隊は、軍拡をやめ大幅軍縮に転ずる、海外派兵はやめる、これはすぐにやります。ただ、一挙にはなくせませんから、民主連合政府ができても自衛隊が存続する期間があるわけです。つまり共存する期間がある。そのときに、急迫不正の主権侵害や大規模災害が起こったら、自衛隊を活用するということまできちんと決めています(「そうなんですか」の声)。いまでも、災害救助に自衛隊が活動することは、私たちは否定していませんよ。

 ただ、(日本は)消防力の水準が低い。消防署の署員さんとか、救急にしても、火災に対する対応にしても、充足すべき数より足らない(「ほう」の声)。ですから消防力を強めていくことで、災害への対応を強める必要があるというのが、私たちの考えです。ただ、災害が起こったとき、現状では自衛隊しかできない活動があることも事実ですから、それはもちろん認めています。私も被災地にうかがうと、自衛隊と共産党のボランティアが一緒になってやっていますから。

 福本 それは、いい瞬間ですね。

 山本 すごい光景だ、それ。

 志位 「ご苦労さまです」というと、向こうも敬礼して(一同笑い)、そういうふうになります。

 福本 そういうのがいいですね。

共産党と組むところは?

「一点共闘」を国会の力にどう連動させるか

 福本 でも、現実問題として共産党と組むとこがなかなかない。中期的ぐらいにどういうふうにお考えですか。

 志位 いまの国会内だけでみないで、国民の世論でみると(いうことが大事です)。消費税増税でも5割、6割は反対。原発でも、パブリックコメント(意見公募)では8割の人が「すぐなくせ」となっています。TPP(環太平洋連携協定)問題でも、JA(農協)の人たちだけでなく、日本医師会も反対です。この前、日本医師会の横倉会長とあって、「一緒にやりましょう」となりましたけど、TPPもそうなっています。オスプレイ配備も沖縄県ぐるみで反対で、全国知事会が反対です。

 私たちがいま言っていることは、国民レベルでは、実は多数派になっていて、それぞれのところでいろんな「一点共闘」が生まれています。それを国会の力にどういうふうに連動させるかということが大事ですね。

 福本 なるほど、「連動」がいま難しいかもしれないですね。

 志位 それを、私たちも知恵をしぼって考えないといけない。どの「一点共闘」にも参加し、積極的役割を果たしている共産党がまず伸びないと。

 福本 共産党さん主導で、とりあえず、これとこれ(の問題)で連立(政権をつくる)という時代に入ってくるんじゃないか、それを国民が望んでいるっていう(のがあります)。

 志位 そのときに、一番大事な問題になるのが、やはり日米安保条約です(「なるほど」の声)。日米安保条約の問題を棚上げにして、日本の政治を語れるのかというところまで来ています。そこが一番の改革の“目玉”だと思います。安保の問題を触れないような政党は改革を語れないと思います。(「なるほど」の声)

リスナーへのメッセージは?

みんなで声を上げれば政治は変わる

 福本 この、ぶれない姿勢が(いいですね)。ただ、数がいないと政権もなかなかとれないし、ジレンマがあると思います。

 志位 政治は、変わるときは、変わります。いま国民のみなさんが声を上げだしています。日本の歴史がガラガラと変わる前夜みたいな感じがします。

 福本 本当にそうですね。せっかくなので、リスナーのみなさんにメッセージがあればどうぞ。

 志位 国民のみなさんが声を上げれば、政治は必ず変わる。ですから、あきらめないで、おかしいということはみんなで声を上げよう。官邸前の行動、消費税、TPP、オスプレイ、いろんな問題がありますけど、みんなで声を上げようということをいいたいです。


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