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2012年8月13日(月)

ゆうPRESS

ロックで「反核・脱原発」

アトミック・カフェ in フジロック

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 音楽を通じて「反核・脱原発」のメッセージを発信するライブ・トークイベント「アトミック・カフェ」が、新潟・苗場スキー場での野外ロックフェスティバル「フジロック」(7月27〜29日)で開催されました。「3・11」後、震災とどう向き合ったのか、原発やエネルギー問題をどう考えるのか、音楽で何ができるのか――率直な思いを語り、音楽に乗せて歌ったミュージシャンたち。その思いを拍手や歓声、涙や笑顔で受け止め、共感し、未来を見つめる若者たちの姿がありました。(舘野裕子)


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(写真)フライングダッチマンのライブに歓声をあげる観客(金子徹撮影)

目指すは愛

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(写真)環境問題や社会問題に携わるNGO・NPOのブースが集まった「NGOビレッジ」の一角で、震災・原発についての思いが寄せ書きされた

 反原発ラブソング「ヒューマン・エラー」で話題のロックバンド「フライングダッチマン」がライブに登場すると、会場は拍手と歓声に包まれました。「こんな自然の中で、こんなにすてきなイベントを続けていくためには、みんなもっと声上げていかなあかんよ」と、ボーカルのタバスコさん。「とにかくもう原発は必要ない」「目指すとこは愛なんだよー」と歌い上げると、丘の斜面を埋めた観客は腕を突き上げ「オォー」と応えました。

 軽やかなギターのリズムに乗せて「ノー・ニュークス(原子力に反対)」と歌い会場を沸かせたのは加藤登紀子さんと佐藤タイジさん。「再生エネルギーだけで武道館ライブをやれる前例をつくりたい」と、年末に100%ソーラー電力でライブを行うことを発表した佐藤さんは、3・11後、原発について発言するミュージシャンが増えたことについて「普通に人間として感じることを言わざるをえない」と語りました。

 放射能汚染から生まれた怪獣映画「ゴジラ」の曲を演奏したのは、「ゴジラ」の名前を冠したスペシャルユニット「ゴジラ・放射能・ヒカシュー」。管楽器や打楽器、アコーディオンなどを交えた壮大な演奏で「困難とたたかう力と未来への希望を歌いあげたい」(ボーカルの巻上公一さん)。

未来見据え

 舞台の最後、大歓声に迎えられた後藤正文さんは、新曲「夜を越えて」をギターで弾き語りました。3・11後の自分の無力さを問い、そこから未来を見据えた曲です。多くのミュージシャンがこれまでのようにライブをやっていいのか、ミュージシャンとして何ができるのか煩悶(はんもん)する中、自身も「どういう言葉を曲に乗せるのがふさわしいのか、詞を書くことが難しくなった」といいます。この曲は歌詞に「瓦礫(がれき)」という言葉を使いました。

 「津波の被害も受けてないやつが、こういう言葉をつづっていいのか。決意を持って書いたけど、今でも胸にわだかまっている。詞を書くことで、もしかしたら誰かを傷つけているかもしれない。ミュージシャンや詞を書く人間は、そういうことと向き合わなくてはいけない」

 こう静かに語った後藤さんは、言葉の持つ可能性を詞に織り込んだ曲「マーチングバンド」を夕闇迫る空に響かせました。


参加者の思い

当時無知だった

 ◆フライングダッチマンのライブを見ていた2人=兵庫県尼崎市=会社員の女性(36)「ネットで『ヒューマン・エラー』を聞いていたので、ライブで見て感動して泣いてしまった。原発には反対です。昔、忌野清志郎さんも反原発ソングを歌っていたのに、自分は漠然と聞いていた。当時は無知だったと反省している。ミュージシャンが声を上げることは勇気がいると思うけれど、ちゃんと言葉にできるのはすごくかっこいい。もっと応援したい」

音楽あってこそ

 自営業の女性(33)「生で見るとメッセージがより伝わってくる。デモで音楽を流すと『祭りやりたいだけちゃうか』と言う人もいるけれど、音楽があってこそ伝わるものがあると思う」

関心持ち続けたい

 ◆加藤登紀子さん&佐藤タイジさんのライブを見ていた女性(33)=東京都練馬区=「フジロック自体が自然との共生をうたい環境に配慮したイベント。自分たちでこの場をつくっているという感覚がある。こういう場で原発についての発言やメッセージを聞くと、素直に受け入れられる。日々の生活の中で行動し続けるのは難しいけれど、関心を持ち続けたい」


アトミック・カフェ主催 大久保 青志さん

音楽には力がある

 長年「NO NUKES」と言ってきたにもかかわらず、原発事故が起こってしまったことに、じくじたる思いでした。運動の足りなさを実感しました。でも、ここから何かやらなくてはいけないと昨年、復活させました。

 音楽だけで社会は変わらないけれど、音楽は人の気持ちを変える力を持っている。ミュージシャンの思いを感じて帰った一人ひとりが、身近な人と思いを共有し、行動していくことで社会を変えるきっかけになれば。


 アトミック・カフェ 1980年代に始まり、故・尾崎豊さんらが出演。いったん途切れたものの、昨年、東日本大震災・東京電力福島第1原発事故を受けて24年ぶりに復活。今年も行われたライブ・トークには、ミュージシャンのほか、女優の松田美由紀さん、タレントの藤波心さん、もんじゅ君らも出演しました。

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(写真)脱原発行動の広がりについて語った(左から)津田大介さん、加藤登紀子さん、佐藤タイジさん

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(写真)自転車発電でフジロックのテーマソング「田舎へ行こう」(忌野清志郎さん)をかけることができる

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(写真)東京電力福島第1原発の写真パネルの前で、作業員の服を着て放射線測定の体験ができるコーナー

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(写真)会場の電力は、太陽光やバイオディーゼルなどの自然エネルギーで賄われた。携帯電話の充電サービスをするコーナーも


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