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2012年8月2日(木)

主張

日本再生戦略

財界が泣いて喜ぶ社会では

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 野田佳彦内閣が2020年度までの経済運営方針を示す「日本再生戦略」を閣議で決定しました。

 どんな戦略を描こうと、消費税増税で13・5兆円、社会保障の負担増を含めれば20兆円に上る国民負担増を強行すれば、日本経済はひとたまりもありません。しかも再生戦略からは「国民の生活が第一」という公約の影も形も見えなくなっています。他方で財界の要求は最大限に取り入れました。

抑制路線の復活宣言

 09年の新成長戦略・基本方針、10年の新成長戦略、今回の再生戦略と、民主党政権は新たな経済戦略を打ち出すたびに財界にすりよってきました。

 再生戦略の本文からは09年、10年の戦略に明記されていた「最低賃金の引き上げ」が消えました。

 社会保障だけを明示して「聖域を設けず」予算を見直すとのべています。これは社会保障抑制路線の復活宣言にほかなりません。

 今年度から法人税率を4・5%引き下げた(全面実施は15年度から)にもかかわらず、再生戦略は15年度以降にいっそうの減税を検討するとしました。

 首都圏空港、国際戦略港湾、高速道路網の早期整備なども掲げています。消費税増税法案には増税でつくる財源を大型公共事業にまわす条項まで盛り込みました。消費税増税と一体になった大型公共事業の全面的な復活宣言です。

 反対の声が大きく広がっている原発再稼働、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加に固執する姿勢も示しています。

 再生戦略のとりまとめに向け、野田内閣は経団連の米倉弘昌会長(住友化学会長)ら財界トップを迎えて国家戦略会議を設置しました。小泉構造改革の司令塔として、不安定雇用のまん延や庶民増税・大企業減税、社会保障の抑制で猛威を振るった経済財政諮問会議にならった会議です。

 再生戦略のたたき台を議論した国家戦略会議の分科会の座長は、「(経団連の提言も)参考にしながら進めていきたい」と、あからさまにのべていました。

 それだけに、分科会報告には再生戦略では隠した本音が出ています。例えば、これからは有期雇用を基本として40歳定年制も認めるべきだとしています。不安定雇用が中心の、正社員もわずか40歳で雇用契約を終了させられる社会にしようということです。日米同盟を基幹的支柱として、集団的自衛権の行使や海外での武力行使を禁じた憲法解釈を見直すとまでのべています。

 財界が泣いて喜ぶような利益第一の横暴勝手がまかり通る社会、アメリカに従って海外で戦争をする国をめざす道です。

看板も立てられない

 実際の政策運営はともかく、これまでの経済戦略は自公政治の転換や「第3の道」を大看板に掲げました。ところが再生戦略のスローガンには「フロンティア国家」「共創の国」「経済成長のパラダイム転換」など空疎な言葉が並ぶばかりです。財界の要求にひざを屈して国民を裏切り、国民に向けた看板すら立てられない体たらくに陥っています。

 消費税増税法案を廃案にし、大企業応援の従来型戦略から国民の所得を増やす経済改革に抜本転換することが求められます。未来のない財界いいなり政治を断ち切ることが、そのカギを握ります。


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