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2012年7月31日(火)

主張

マイナンバー法案

不利益しかない番号は不要だ

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 日本に住む全住民に国が番号を割り振り、税・社会保障情報などを一元管理する共通番号制度(マイナンバー)法案について、民主、自民、公明の3党が成立で大筋合意しました。同法案には、膨大な個人情報を行政が一括して利用する危険や情報漏れによるプライバシー侵害を指摘する意見が続出しています。それを無視して3党の談合で成立を強行するなどもってのほかです。住民に不利益しかもたらさない法案は廃案にするしかありません。

成り立たない導入理由

 マイナンバー法案は、消費税と社会保障の「一体改革」関連法案の柱の一つとして野田佳彦内閣が今年2月に国会に提出していたものです。自民、公明との調整で他の法案とは切り離されて、これまで審議に入ることもできていませんでした。

 ところが「一体改革」法案をめぐる民自公の密室協議のなかで急浮上した「社会保障制度改革推進法案」のなかに「社会保障番号制度の早期導入」が盛り込まれたのです。マイナンバー法案の成立は、3党密室談合の結果を問答無用におしつけるもので、そのやり方自体許されません。

 法案は、赤ちゃんからお年寄りまでのすべての日本国民と中長期滞在の外国人を含めた日本居住者一人ひとりに識別番号(マイナンバー)をつける仕組みです。これまで年金、医療、介護など制度ごとに違う番号で管理・運営されていた国民のさまざまな情報がマイナンバーを通じて一つに結びつけられます。対象となる情報は、社会保障、税金、雇用、奨学金貸与の状況まで広範囲にわたります。国や地方自治体が、住民の多様な納付・給付状況を把握することを可能にします。

 民自公が推進する「一体改革」は社会保障について「受益と負担の均衡」を図るとして、給付の「適正化」と運営の「効率化」による社会保障費削減・抑制を前面に打ち出しています。マイナンバー法案は、それを可能にするものです。「一体改革」を要求する経団連が社会保障支出の「徹底的な合理化・効率化」のために番号制度の導入を強く求めてきたことからも、社会保障給付抑制の道具にマイナンバーを使う狙いは明らかです。

 内閣府の世論調査(1月発表)でも7割以上の人が「個人情報の漏洩(ろうえい)によるプライバシー侵害」「個人情報の不正利用による被害」に不安を感じています。それへの対策もきわめて不十分です。番号制度が必要という立場の研究者からも、多くの情報を一つに集中させるのは「プライバシー保護の観点から見て『絶対にやってはいけないこと』」と危ぐする声があがっています。

強行せずに撤回すべきだ

 制度の弊害は外国でも浮き彫りになっています。イギリスではいったん導入を決めた国民IDカード法を人権侵害への危険があることや巨費が浪費されるおそれがあるとして廃止しました。ドイツでも行政機関の番号使用を規制するなどきわめて限定的に運用されています。

 制度導入に6100億円かかると試算された費用も不透明です。歯止めない税金投入になる危険は大です。まさに国民にとって「有害無益」の法案を強行することは絶対に許されません。


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