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2012年7月27日(金)

米国代理大使との会談

志位委員長の発言

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 26日、米国大使館で行われた日本共産党志位和夫委員長とカート・トン米国臨時代理大使との会談での、志位委員長の発言を紹介します。


陸揚げ強行に強く抗議する

 まず、オスプレイ配備問題についての私たちの見解をお伝えします。

 オスプレイ配備には、沖縄県の知事、県議会、41市町村の全議会と首長がすべて強く反対しています。岩国基地のある山口県の知事、県議会、岩国市の市議会と市長も反対しています。全国知事会もオスプレイ配備反対の緊急決議をあげています。

 これだけの日本国民のきびしい反対のなか、オスプレイの陸揚げを強行したことに、強く抗議します。

墜落事故をくりかえしている欠陥機

 オスプレイ配備には、三つの大問題があります。

 第一は、オスプレイは、開発・試験段階から墜落事故をくりかえしている欠陥機であるということです。最近も、モロッコ、フロリダで墜落事故があいつぎ、沖縄県民を震撼(しんかん)させています。米議会でも、オスプレイの主任分析官が、エンジンが停止した場合に、安全に着陸するオートローテーション能力が「欠如している」、「米連邦航空局の基準を満たしていない」と証言しています。

 日本の航空法では、オートローテーション機能のない回転翼機は飛行が禁止されています。オスプレイのような回転翼機は、本来ならば飛行が禁止されます。

戦後のいまわしい記憶に直結する

 第二に、沖縄県民にとって、米軍機の事故という問題は、戦後の数々のいまわしい記憶につながる問題だということを、強調したい。

 1959年には、宮森小学校に米軍戦闘機が墜落し、18人の犠牲者を出した大惨事がおこりました。

 1965年には、米軍ヘリからパラシュート投下されたトレーラーに命を奪われた隆子ちゃん事件がおこりました。

 1968年には、嘉手納基地に、B52爆撃機が墜落した大事故が起こりました。

 そして、2004年には、米軍ヘリが沖縄国際大学に墜落し、大惨事一歩手前までいった事故がおこりました。

 これらは、沖縄県民ならだれでも知る、共通のたえがたい痛みの体験です。

 米国政府が、オスプレイの普天間配備を日本政府に通告した6月29日は、宮森小で追悼集会が開かれ、児童や遺族らが花や千羽鶴を手向け、黙とうをした日でした。墜落事故からちょうど53年目の6月30日の前日です。「よりにもよってこの日に」という怒りが渦巻きました。

 沖縄県の仲井真知事は、「配備強行ならば、県内の全基地即時閉鎖という動きに行かざるを得ない」とのべています。

 沖縄県選出の超党派国会議員は、「配備強行ならば、沖縄の怒りは日米安保体制を揺るがすほど大きなものとなる」と声明を出しています。

低空飛行訓練で被害は日本全土におよぶ

 第三に、問題は、沖縄にとどまらず、日本全土におよぶということです。米軍は、沖縄本島の全域と、本土に設定している七つの低空飛行訓練ルートなど、日本各地でオスプレイの訓練をおこなう計画を明らかにしています。

 米軍の「環境審査報告」には、オスプレイが地上60メートルで飛行訓練を実施することも記載されています。日本の航空法が定める最低安全高度は人口密集地で300メートル、それ以外で150メートルであり、高度60メートルでの飛行は、これを大幅に下回るものであり、本来ならば禁止されるべきものです。

 これまでも米軍機による低空飛行訓練は、さまざまな被害や事故をもたらしてきましたが、オスプレイによる低空飛行訓練は、危険をはなはだしいものとします。全国知事会の配備反対声明を重く受け止めるべきです。

 パネッタ国防長官は、オスプレイ配備を「日米安保条約上の権利」とのべましたが、日米両政府が、日米安保を盾に強行するならば、「安保をなくせ」ということになるでしょう。

 オスプレイ配備計画の撤回を求めます。

オスプレイ配備でなく、普天間基地の無条件撤去を

 歴史的にみて沖縄の矛盾がどこまできているかをとらえてほしいと思います。

 私は、2010年4月にルース大使と会談、5月に米国務省と会談し、「沖縄をめぐる情勢の特徴は、普天間基地を返還する代わりに、別の場所に『移設』する――『県内移設』という方針が、完全に破たんしたということにある」、「沖縄の情勢は決して後戻りすることはない限界点を超えた――『ポイント・オブ・ノー・リターン』ということだ」とのべました。そして、「普天間問題の唯一の解決方法は、『移設条件なしの撤去』――『無条件撤去』しかない」ということを、私たちの見解として伝えました。

 それから2年、日米両政府は、破たんした「県内移設」という方針に固執したまま、米国政府も「世界一危険」と認めた普天間基地に、オスプレイという危険な軍用機を配備しようとしています。これは絶対に理解を得られないものです。すでに燃え盛っている沖縄の怒りの火に、さらに油をそそぐ結果となるでしょう。

 オスプレイ配備ではなく、普天間基地の無条件撤去こそ、いま決断すべきです。

軍事同盟をなくし、対等・平等・友好の日米関係を

 今年は日米安保条約発効60年の年になります。世界を見ても、軍事同盟は過去のものとなりつつあります。東南アジアの軍事同盟――SEATO(東南アジア条約機構)も解消しました。

 私たちは、この体制と沖縄との矛盾、日本国民の利益との矛盾は、限界点を超えたと考えています。日米軍事同盟をなくして、対等・平等・友好の日米関係への転換を構想すべき時だと考えます。その立場から「外交ビジョン」を発表しています。そのことをお伝えしたいと思います。(「外交ビジョン」のパンフレットと英訳を渡す)

核兵器禁止条約の締結にむけた国際交渉を

 最後に、核兵器問題についての私たちの立場をお伝えしたいと思います。

 もともと、日本共産党と米国政府の関係は、2009年4月のチェコ・プラハでのオバマ大統領の演説――「核兵器のない世界」を米国の国家目標にするという演説にさいして、私が、大統領に、演説を「心から歓迎する」とともに、具体的なイニシアチブを要請する書簡を送り、先方から返書がよせられるということから、始まったものでした。

 核兵器問題では、2010年のNPT(核不拡散条約)再検討会議の最終文書は、「核兵器のない世界」を実現するために「必要な枠組みを確立するための特別の取り組み」をおこなうことを確認しました。これは、「核兵器のない世界」の実現に向けた重要な一歩前進となりました。

 3年後に開催される2015年のNPT再検討会議で、さらにこの到達点を前進させる必要があります。すなわち、核兵器禁止条約の締結にむけた国際交渉を開始することが、国際社会の合意になることを、私たちは、強く願っています。

 この点で、今年3月、韓国・ソウルでの「核セキュリティー・サミット」で、オバマ大統領が、あらためて「核兵器のない世界」への前進の決意をのべ、「アメリカのリーダーシップが不可欠」とのべたことに注目しています。

 「核兵器のない世界」の実現のため、核兵器禁止条約のための国際交渉を開始する――この問題で米国政府が積極的対応をすることを、被爆国の政党として要請するものです。


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