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2012年7月1日(日)

パラグアイのルゴ大統領 本紙に語る

前代未聞 24時間足らずで罷免

民主主義回復へ国民的たたかい

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 上院による一方的な弾劾決議で罷免された南米パラグアイのルゴ大統領は6月28日、本紙と会見しました。ルゴ氏は、24時間足らずで大統領を罷免したのは前代未聞だと批判。南米の地域機構にも訴えて国民とともにたたかう姿勢を示しました。(アスンシオン=島田峰隆 写真も)


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(写真)インタビューに答えるルゴ大統領=6月28日、アスンシオン

 私の政権は、全国の公立病院や診療所での外来診察を無料にするなど、すべての国民を支援する社会政策を進めてきました。こうした政策は常に右派からの強い抵抗を受けました。今回の動きの背景に、社会政策を嫌う一握りの富裕層や大土地所有者がいることは間違いないでしょう。

 上院による弾劾と罷免は、パラグアイだけでなく中南米地域全体の民主主義に重大な影響を与えます。

 大統領に対する弾劾は過去にもありました。しかし今回のように24時間足らずという短時間に、選挙で民主的に選ばれた大統領を罷免するというのは、パラグアイでは前代未聞のことです。

 2003年と1931年にあった大統領に対する弾劾手続きは、どちらも3カ月以上かけて行われました。

 憲法は大統領に対する弾劾手続きを明記しています。しかしそれは今回のようなやり方が許されるという意味ではありません。国会のやり方は実際には憲法違反であり、「国会によるクーデター」と呼ぶ理由もここにあります。

 パラグアイは南米南部共同市場(メルコスル)の原加盟国です。メルコスルはアスンシオンでの首脳会議で調印した条約により設立されました。そのパラグアイが、民主主義の問題で今回の首脳会議に出られない。このこと自体が事件の重大性を示しています。

 南米諸国連合(UNASUR)の発展など中南米の地域統合が進み、私の政権もそれを推進してきました。今回の国会の動きは、地域統合の流れにも否定的影響を与えます。

 民主主義を回復するために国民的たたかいを進めます。メルコスルやUNASUR、米州人権委員会に不当性を訴えるとともに、民主主義を守ろうと運動を進めている国民と力をあわせます。

ルゴ政権与党「弾劾は憲法違反」

 パラグアイでは大統領に対する弾劾は下院が要求し、上院が決議を上げます。別表のようにルゴ氏に弾劾手続きが伝えられたのは6月21日の午後6時。翌日の正午には反論を迫られ、与えられた時間も2時間でした。

 ルゴ政権を支える政党の一つ、社会主義運動党(PMAS)のロシオ・カスコ副議長は「裁判などの場合、事前に余裕を持って通告を受け、弁護を準備する権利が憲法で認められている」と指摘。「今回は通告から反論まで18時間しかない。しかも夜は役所などを使えないので準備時間は実質5時間だ。憲法違反は明らかだ」と批判します。

 地元紙ABCコロル(26日付)によると、「民主主義が深く傷つけられた」というルゴ氏の主張に同意する人は61%に上ります。(アスンシオン=島田峰隆)

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