「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年6月14日(木)

主張

JAXA法改定

宇宙軍拡促進の悪法は廃案に

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 ロケットの開発や人工衛星の打ち上げを行っている独立行政法人宇宙航空研究開発機構の設置法(JAXA法)から、宇宙開発を「平和の目的」に限った規定を削除する法案が今日にも衆院内閣委員会で採決されようとしています。

 人工衛星などの開発・利用は「平和の目的に限り」と限定しているJAXA法からその規定を削除するのは、宇宙の軍事利用拡大政策にJAXAを組み込むのが狙いです。アメリカのように宇宙を利用して戦争を進める態勢づくりは、戦争を放棄した憲法の平和原則をふみにじるものであり、許されません。

米国と日本企業に奉仕

 JAXA法改定は、自民、公明、民主3党が2008年に強行した宇宙基本法にあわせたものです。「平和の目的に限り」という規定は、憲法の平和原則にもとづいて宇宙の軍事利用を禁止するために定められたもので、政府がJAXAを軍事力強化に動員する企てを許さない歯止めとなってきました。この規定を削除すれば、JAXAの技術と能力が軍事力強化のために使われ、政府の宇宙軍拡政策を加速させることにしかなりません。

 政府の狙いは、JAXAのロケットを使って軍事通信や早期警戒などの多種多様な軍事衛星を打ち上げ、衛星を追跡するJAXAの能力を宇宙軍拡に組み込み、文字通り軍事力強化の手足にすることです。改定法案が「国際的な平和及び安全の維持」をうたっているように、日米軍事同盟を強化し、海外での戦争態勢づくりをめざすものであるのは明らかです。

 改定法案がJAXAに「必要な措置を求めることができる」主務大臣に総理大臣を加えているのも問題です。自衛隊の“最高司令官”であり、安全保障会議の議長である総理大臣が主務大臣になればJAXAの軍事利用に拍車をかける恐れがいっそう強まります。

 JAXAが宇宙軍拡政策に組み込まれることによって、宇宙開発に求められる「公開」の原則がふみにじられるのはとりわけ重大です。防衛省は「国防」をたてに12万件以上もの情報を秘密扱いにして外部に漏れないようにしています。そのため国民やメディアは戦争態勢づくりの実態をつかみにくくなっています。「公開」が原則の人工衛星やロケットなどの情報が秘密にされれば、自由に研究成果を発表し、共有しあう研究者らの自由さえ脅かされることになりかねません。

 どこからみてもJAXA法改定案は問題だらけです。憲法の平和原則を正面からふみにじる悪法を許すわけにはいきません。

国民生活守るためにも

 JAXA法の改悪は財界と兵器産業界が要求してきたものでもあります。防衛省が企てている何種類もの軍事衛星を数多く開発し打ち上げるには巨額の予算を伴います。いま宇宙を飛び回っている日本の情報収集衛星だけでも開発・打ち上げなどで約8000億円かかりました。軍事衛星を次つぎ打ち上げ、宇宙軍拡で大もうけを図ろうという財界・兵器産業の身勝手な要求のため、国民の血税を使わせるわけにはいきません。

 国民には消費税増税を押し付けながら、一方でカネのかかる宇宙軍拡を推し進めるJAXA法改定法案は、この点でも廃案にするしかありません。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって