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2012年5月25日(金)

きょうの潮流

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 5月初め、絵の値段の記録が塗りかわりました。ニューヨークの競売で、ノルウェーの画家ムンクの「叫び」が1億1990万ドルで落札されました▼約96億円。存在が知られている5枚の「叫び」のうち、1895年に描かれた1枚です。20年近く前、東京の美術館の人だかりの中で「叫び」をみた時の、鳥肌の立つような感覚がよみがえります▼その展覧会の記録をひもとくと、ムンクの日記が載っています。歩道を歩いていた。太陽は沈みかけ、突然、空の色が赤に変わる。炎の舌と血とがフィヨルドや町にかぶさるかのように。「私はそこに立ちつくしたまま不安に震え…そして、自然をつらぬく果てしない叫びを聞いた」▼人は、ムンクが描いた「叫び」を、世の不安におののくみずからの叫びに重ねてきたのでしょう。死や孤独への不安。炎と血にまみれる戦争や虐殺の恐れ。「叫び」の値打ちは、お金で計りきれません▼ことしは、競売の話題に事欠きません。1月、若いころ画家を志したナチス・ドイツ総統ヒトラーの絵「夜の海」が落札されました。3万2千ユーロは約320万円。同じ月、旧ソ連の指導者スターリンの死に顔の面(デスマスク)が落札されました。青銅製。1枚4400ポンド、約55万円でした▼戦争と虐殺にあけくれたヒトラー。大勢の共産党員や市民を殺し、一時はヒトラーと組んだスターリン。恐怖の“叫び”をよびおこした独裁者のなれの果てを物語る、物珍しさが値打ちの320万円や55万円かもしれません。


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