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2012年5月24日(木)

主張

「一体改革」論戦

暮らし破壊とは折り合えない

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 衆院の「社会保障と税の一体改革」特別委員会で各党の質問が一巡しました。自民党は衆院選公約を民主党が撤回すれば消費税増税法案に賛成できると“迫り”ました。野田佳彦首相は「違いはあるが折り合える」と答えました。

 消費税増税でなれ合っているようにしか見えないやりとりです。民主党と自民党が折り合えても、国民は暮らしの破壊とは決して折り合えません。

崩れた「社会保障のため」

 いま国会に求められるのは「一体改革」で暮らしと経済はどうなるのか、ほかに道はないのかという国民の不安や疑問に応える真剣な議論です。22日の審議で日本共産党の佐々木憲昭議員は、この問題を正面からとりあげました。

 首相を先頭に政府は消費税増税でつくる財源を「社会保障の充実・安定化に使う」と説明しています。社会保障を口実に国民の反対を抑え、増税しても社会保障で国民に返すから景気に悪影響はないと主張するためです。

 しかし、佐々木質問で政府の説明は根底から崩れました。2015年度の社会保障の公費負担は消費税を増税しない場合は34・8兆円、増税した場合は41・3兆円になると小宮山洋子厚労相が答えました。消費税率の5%引き上げで国民の負担増は13・5兆円に上るのに、社会保障で増えるのは政府の見通しでも6・5兆円だけです。残りの7兆円は別の分野に使われるということです。その一部は大企業向けの法人税減税や財政赤字の穴埋めなどに回ることを政府も否定できませんでした。

 6・5兆円もまゆつばです。そのうち2・9兆円は3年前から実施している基礎年金の国庫負担2分の1を維持する財源に置き換わるだけです。6・5兆円のうち社会保障の充実をうたった2・7兆円も、市町村の保育義務をなくす「子ども・子育て新システム」の財源を含むなど、制度の改悪に費やされる部分があります。

 負担増は、ほかにも年金削減や医療・介護の保険料引き上げ、子ども手当削減などがあり、消費税増税の13・5兆円と合わせると年間20兆円で過去最大となります。これでは暮らしも経済も破たんし、景気悪化で税収総額も増えません。こうした佐々木氏の指摘に政府はまともに答弁できませんでした。

 見過ごせないのは、貯蓄ゼロ世帯が約3割に上る家計に消費税を増税しようとする一方で、260兆円を超える内部留保をためこむ大企業には減税することです。2015年時点では国民には消費税の5%増税、大企業向けには法人実効税率の5%減税となります。

「言うことが財界と同じ」

 「あまりに不公平だ」と追及した佐々木氏に安住淳財務相は「企業の国際競争力のために減税は必要だ」と答えました。大企業は利益の使い道に困って内部留保を積み上げています。減税しても内部留保が増えるだけで「競争力」は1%たりとも高まりません。佐々木氏は「あなたの言うことは財界と同じだ」と批判しました。

 暮らしと経済をかえりみずに庶民増税、大企業減税をすすめる政治の根本には「財界いいなり」の姿勢があります。政治の姿勢を変えて無駄遣いを一掃し、大企業や富裕層に応分の負担を求めるなら、消費税に頼らず社会保障を再生・充実させる道が開けます。


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