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2012年5月19日(土)

原発耐震 「旧指針で支障なし」

保安院、安全委に要求 06年改定時

「運転停止余儀なくされる」

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 原子力安全委員会が2006年、原発の耐震設計審査指針を改定する際、経済産業省原子力安全・保安院が、旧指針のままでも原発災害を防止する上で支障がないことを明示するよう文書で、安全委に要求していたことが17日、分かりました。


 同院は、安全委が原発事故時の防災対策重点地域を拡大する指針を06年に改定しようとしたのに対して、当時の保安院長が“寝た子を起こすな”などと妨害したことが3月に判明。今回もまた、原子力の規制をうたう保安院でありながら、原子力の推進側に立って行動している実態を示しました。

 安全委の旧指針に基づいた安全性に関する審査では、既存の原発について設置許可の要件となる「災害の防止上、支障がない」とする判断が下されていました。文書を作った当時の原子力安全特別調査課長(退職)は安全委に対し、指針改定後もこの判断が維持されることを明示するよう求め、文書で「明示しない場合は、重大な問題が発生する」と強調し、「立地自治体、マスコミ等で批判が厳しくなり、事実上運転停止を余儀なくされる」と懸念を表明。原発の運転差し止めなどを求める訴訟が多く提起される事態を想定した上で、「耐震性の再評価などの立証活動なしには敗訴を到底免れない」と訴えました。

 安全委は同課長の要求から5カ月後、指針改定について、「安全審査のやり直しを必要とするものでもなければ、個別の原子炉施設の設置許可等を無効にするものではない」とする文書を出していました。

 18日に会見した深野弘行・保安院長は「保安院の立ち位置について疑念を呼びかねない表現ぶりがあったのは、反省しなくてはいけない」と釈明しました。

 1981年に決定された旧指針に対しては、1995年の阪神・淡路大震災を契機に見直しを求める意見が広がり、2006年3月に、金沢地裁が、旧指針には重大な欠陥があるとして、志賀原発2号機の運転差し止めを命じる判決を出しています。2006年9月、安全委は25年ぶりに指針を改定しました。


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