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2012年5月11日(金)

主張

「F35」価格高騰

これでも購入をやめないのか

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 米国など9カ国が開発中で日本が導入を決めたF35戦闘機の価格が1機当たり約190億円にもなることが、米国防総省の議会報告書で明らかになりました。

 政府は自衛隊のF4戦闘機の後継機としてF35を42機購入することを決め、今年度予算に4機分395億円と関連経費205億円を計上しました。1機99億円、関連経費を含めると1機当たり150億円と見積もりましたが、米国防総省の試算は現段階で倍以上になっています。田中直紀防衛相は価格が高騰すれば「購入できない」といってきました。F35の購入はただちにやめるべきです。

「動的防衛協力」の動き

 米国防総省の議会報告は、日本に売却する42機の総額が100億ドル(約8000億円)になるとしています。総額から計算すると1機当たり約190億円になります。

 しかも報告はあくまでも中間的なもので、この先どこまで高騰するかわかりません。F35の購入は米側の裁量で価格が変わる有償軍事援助(FMS)による契約方式が適用されます。まさにアメリカの言い値で価格が値上がりするしくみです。

 F35は開発中に機体に多数の亀裂が見つかったために、運用開始時期が遅れることも、そのために価格が高騰することもはじめから指摘されていました。にもかかわらずF35の購入を強く迫るオバマ政権の歓心を買うために、購入決定を急いだ野田佳彦政権の責任は重大です。

 F35は最新鋭の戦闘機で、レーダーにとらえられにくいステルス性能を備え、日本周辺を超える長距離攻撃能力と爆撃能力をもちます。空中給油をすれば作戦範囲はさらに広がります。

 過去にひきおこした侵略戦争の反省もしていない日本政府が、航続距離が長く地上を爆撃する能力もある戦闘機をもてば、周辺諸国の警戒を強めることにもなりかねません。かつてF4戦闘機の採用をめぐる議論の中で当時の政府は、F4の爆撃能力は「憲法に触れる」との見解を示し、爆撃能力を持たないことをきめた経緯もあります。野田政権がF35の購入に踏み切ったのは、国民の長い間の議論さえふみにじる「暴走」で、とうてい許されるものではありません。

 見過ごせないのは、政府が米軍と自衛隊との「動的防衛協力」にふみだしていることです。オバマ政権が進める「エア・シー・バトル」(空・海戦闘)戦略に対して、田中防衛相が「わが国もそれに能動的な戦略も加味していくことが必要」(3月22日、参院外交防衛委員会)とのべました。日米軍事同盟を強化し、米軍戦略を補完する自衛隊の役割を拡大するのはやめるべきです。

国民生活に回してこそ

 F35の購入費は総額で約8000億円と米側はいっていますが、関連経費を含めれば1兆円を優に超える高い買い物になるとの指摘もあります。東日本大震災の復興に力を注ぐときなのに、被災者にまで消費税増税を押し付け、憲法上も問題があるF35を大量に購入するのは絶対に許されません。

 政府は日米軍事同盟を強化し、軍拡競争を加速させるF35の購入決定を撤回し、大震災復興など国民生活予算に回すことこそ最優先にすべきです。


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