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2012年5月10日(木)

東電次期社長

“原発再稼働なしはもったいない”

柏崎再稼働を明記

事業計画政府認定 電気料値上げも

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 枝野幸男経済産業相は9日、関係閣僚会合で、東京電力と原子力損害賠償支援機構が提出した総合特別事業計画を認定しました。


 総合特別事業計画には東電の事業収益改善に向け、2013年4月から順次、柏崎刈羽(かしわざきかりわ)原子力発電所(新潟県)を再稼働させる方針を明記しました。

 東電の広瀬直己(なおみ)次期社長は8日の記者会見で「(原発再稼働なしは)もったいない」と発言し、再稼働を進める姿勢をあらわにしています。今回、事業計画に柏崎刈羽原発の再稼働が明記されたことは、こうした原発事故加害者として無反省な東電の態度が表れたものといえます。

 また、東電は同社の利益を確保するために、7月から家庭用電気料金を10・28%値上げする意向も明記しました。電気料金の値上げも、原発事故の処理にかかる東電の負担を国民に押し付けるものです。

 政府は6月の定時株主総会後に、1兆円の公的資本投入を実施し、東電を実質的に国有化します。東電は公的資本注入により、債務超過に陥ることを回避します。原発事故の賠償に充てる資金と、今回投入される資本増強のための資金で、合わせておよそ3兆4000億円もの公的資金を受けることになります。原発事故加害者である東電は救済されることになります。

 東電の12年3月期決算は、純損益が7080億円の大幅赤字に陥りますが、電気料金の値上げと原発再稼働、コスト削減などで14年3月期には1067億円の黒字に転換する計画です。

 日本政策投資銀行や三井住友銀行など東京電力の主力銀行は政府による総合特別事業計画の認定を踏まえ、東電への総額1兆円の追加融資に応じます。公的資金1兆円の資本注入や電気料金の引き上げ、柏崎刈羽原発の再稼働計画などが正式に認定されたことを受けての対応です。

解説

事故に無反省 世論に挑戦

 野田内閣は、原発事故の最大の責任者である東電を公的資金で救済する「総合特別事業計画」を認定しました。

 この事業計画では、2013年4月から順次、柏崎刈羽原発を再稼働させることを明記しています。

 福島第1原発事故の原因は、いまだ究明されておらず、被害は時間的にも空間的にも拡大し続けています。事故収束に程遠い状況にもかかわらず、原発再稼働を計画するのは、事故を引き起こした当事者として無反省であり、「原発ゼロ」の世論に挑戦するものです。

 7月から家庭向け電気料金の10・28%の値上げを求めることも盛り込みました。4月には、企業など事業者向け電気料金の値上げを実施し、事業者から怒りの声が広がりましたが、電気料金の値上げは、原発事故対応にかかる東電の負担を利用者・国民に押し付けるものです。政府は、原発事故の責任者である東電とその株主、大口の貸し手である大手金融機関など利害関係者に責任を取らせ債権放棄をさせるなど、事故処理の負担を負わせるべきです。

 東電に今必要なことは、進んでいない原発事故被害者への賠償に全力を挙げることです。(柳沢哲哉)

グラフ

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