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2012年4月30日(月)

対イスラエル天然ガス輸出協定破棄

国民が決定を大歓迎

エジプト

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 エジプトがイスラエルとの天然ガス輸出協定を破棄すると決定したことをめぐり、そのことが判明した22日以来、エジプト国内での反響が収まりません。ほとんどが破棄決定を大歓迎するものとなっています。(カイロ=小泉大介)


 「今回の決定を知ってとても幸せな気持ちになりました。主権者である国民の意思によって国の進む方向が決まっていく。これこそ、革命が目指した一番の目標であったし、現実にそのように国が動き出しているのですから」

 カイロの公務員の男性、イアド・セリムさん(35)がこう喜ぶように、多くの国民が今回の破棄決定を、昨年はじめの「革命」の成果だと感じています。

 国民は前ムバラク大統領時代の2005年に結ばれた天然ガス輸出協定について、イスラエルに大幅に譲歩した屈辱的なものと早くから見なしていました。エジプト紙アルアハラムによれば、国際市場価格の4分の1に満たない格安価格で、エジプト産天然ガスをパイプラインを通じてイスラエルに輸出することになったからです。

 しかも、これにからんだのがムバラク氏とその側近の汚職問題です。現在、同氏は、「革命」時に国民を殺害した容疑とともに、天然ガス輸出をめぐる汚職と背任の容疑でも裁判にかけられています。検察は、ムバラク時代に国が被った損失は少なくとも約580億円に上るとしています。

 国民はこのような協定を生み出した背景に、前ムバラク政権の親米・親イスラエルの姿勢があると感じていました。締結当時から、「エジプト政府は米政権に対し、イスラエルと協力することによって友好のメッセージを送ろうと欲した」(アルアハラム政治戦略研究所のイマド・ガード上級研究員)などの指摘が出ていました。

 前政権の外交政策の“象徴”だった協定の破棄は当然、「革命」の主要なスローガンの一つとなっていきます。

 今回、協定破棄を決定したエジプト石油公社と同ガス公社は、その理由として、イスラエル側の輸入代金支払いが滞ったことをあげ、あくまで企業間の経済的な問題だとしています。

 しかし、人民議会(下院)のフィキ外交委員長は「まずもって政治的な問題だ」と指摘し、アルアハラム紙も「(「革命」の主舞台となった)タハリール広場の国民をなだめようとしたものだ」との識者のコメントを引用。背景に「革命」を担った国民の声があることは明瞭です。

 イスラエル側は今回の決定について、「これは(1979年締結の)平和条約に暗い影を投げかける危険な先例だ」(シュタイニッツ蔵相)と、すべての経済関係がご破算になるかのような脅しをかけています。

 カイロ大学のハッサン・ナファ教授はこう指摘します。

 「今後、米国とイスラエルから協定復活に向けた大きな圧力がかかるでしょうが、状況は変わったのです。革命後の今、エジプト政府が米国の不当な要求を受け入れることは非常に困難となっています」


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